真っ黒こげ太郎

フライトメア 恐怖! 人喰い女達の晩餐の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

3.5
「完全に回復したと判断されるまで退院できない」
「完全に治るまでは」



1957年のロンドン。
殺人を犯したとある夫婦が逮捕される。
本来ならば死刑だったが、妻ドロシーと夫のエドモンドの2人は精神異常と見なされ、精神病院送りとなる。

それから時が経ち1974年。
夫婦2人は精神病院を退院し密かに生活していた。
夫婦には2人の娘がおり、真面目な姉のジャッキーは時折夫婦の元を訪れて面倒を見ている。
妹のデビーは町で不良達と共に悪さをしてジャッキーを困らせていた。

ある日、ジャッキーはエドモンドに呼び出され、ドロシーが人肉を隠し持ってたことを知る!!
ドロシーは占いを経営しながら、訪れたお客さんを惨殺して食べていたのだ!!!



食人思考の母親になって家族が徐々に狂ってゆくホラー・ドラマ。
一部でカルト的人気を誇るクラシック・ホラーの一つ。

邦題はB級臭いが、実際の内容は食人思考な母親によって家族が段々と狂ってゆく様をシリアスに描いている。
内容はおふざけ要素のない、かなり真っ当なホラードラマ。

今作の血みどろは流血オンリーで、後はちょっとした遺体損壊レベル。
まぁH・G・ルイスさんの初めての血みどろ映画から一年後の作品だからしょうがないか。
その割に今作は頑張ってる方だと思う。暴力描写は陰険だし、殺しの描写も結構生々しい。
後何故か目玉潰し描写が多い。ルチオ・フルチさんかな?w
(こっちの方が先だけど。)


今作、全体に流れる陰険な雰囲気が良くできているし、家族の歯車が段々と狂ってゆき最終的には救いのない絶望的なラストにたどり着く。
サスペンス系のドラマは中々悪くないし、猟奇的な母親の狂気や物悲しいさを感じる父親の演技など、登場人物の演技は見事。
家族の板挟みで苦しむヒロインの苦しさもしっかりと描写している。
子供にとっては神様に等しい”母親”が恐ろしい性格だったり、精神疾患犯罪者に対する無責任っぷりなど、社会派な面も顔を覗かせている。
最後の救いのない絶望的なオチも実に重苦しい余韻を残した。


とまぁそんな感じで今作はかなり良くできた作品だが、個人的には少々真面目過ぎて(爆)「もっと弾けても良かったんでない?」と思ってしまった。w
後、人食いを題材にしてる割には人食い感がなかったり、内容がホラーか社会派を目指してるのかどっち付かずな感じになっていた。
割とスローテンポな所もあったりと気になる点もちらほら。
まぁ、これは個人的に気になった事ですが。


しょうもない不満を描いたりしましたが、ドラマ方面やホラー方面も共にしっかりと描かれた良くできた作品なので、興味のある方はどうぞ。