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ATARI GAME OVER アタリ ゲームオーバーのYYamadaのレビュー・感想・評価

3.4
【ドキュメンタリーのススメ】
ATARI GAME OVER
アタリ ゲームオーバー (2014)

◆ドキュメンタリーの種類
 証言に基づく「解説型」
◆描かれるトピックス
30年の時を経て、大量廃棄された
 不良在庫のゲームソフトを発掘する

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・1980年代初頭に爆発的人気を呼んだテレビゲーム機「ATARI2600」。
・その最重要タイトルとして発売されながら「史上最悪のクソゲー」として酷評され、ATARIを倒産に追い込んだ「E.T.」の大量の不良在庫がニューメキシコの砂漠に埋められているという都市伝説を検証するため、「ATARIの墓場」の発掘に挑む人々を取材。さらに当時のゲーム開発に関わった人々の証言などを通し、ATARIの栄光の歴史と崩壊の真相を紐解いていく…。

〈見処〉
①都市伝説は本当だった?!史上最悪の
 クソゲー「E.T.」発掘に挑む!
・『ATARI GAME OVER / アタリ ゲームオーバー』は、2014年に製作されたドキュメンタリー。米国では、2014年にXbox OneとXbox 360で独占配信され、2015年9月には日本でもセルDVDソフトとして発売された。
・本作は、テレビゲーム黎明期に社会現象を巻き起こしながらも、突如として倒産に追い込まれた米ATARI社の軌跡とともに、「史上最悪のクソゲー」という不名誉な烙印を押されてる『E.T.』の不良在庫が大量に、ニューメキシコのとある砂漠に埋められているという都市伝説を掘り下げる、ゲーム愛に溢れた作品。
・監督は『インクレディブル・ハルク』『レディ・プレイヤー1』の脚本家
ザック・ペン。

②ATARIの墓場
・米国のアタリ社は、最盛期の1982年にビデオゲーム市場のシェア80%を占め、親会社ワーナーの営業利益の約7割を占めるほど隆盛を極めたゲームメーカー。
・しかしながら、次第にソフトの劣悪な内容が多数の返品とデッドストックを生み、経営は悪化。
・起死回生策として、アタリ社親会社のワーナーとスティーヴン・スピルバーグの間で交渉が行われ、映画『E.T.』のゲーム化が決定されたが、クリスマス商戦に合わせるため、プログラマー1名が5週間の短期間に開発されたその内容の劣悪さが酷評を呼び、発売月の1982年12月に製造した500万本のうち、150万本が売れたのみで、半数以上が在庫化した。
・これらの要因が積み重なり、アタリ社は1983年には5億ドル以上の損失を出すことになり、その渦中の1983年9月にアタリ社は、セミトレーラー 20台分の大量の不良在庫をエルパソの倉庫から運び出し、ニューメキシコ州アラモゴードの地中5メートルに廃棄処理した。
・この埋め立て地は、俗称「ATARIの墓場」と呼ばれ、様々なメディア媒体により「売れ残りの『E.T.』が350万本近く埋められ、コンクリート詰めになっている」という説が広まり、都市伝説と化すことになる。
・その30年後、アラモゴード市委員会は本作の製作会社に、処分場の発掘とドキュメンタリー製作の許可を与え、同年4月26日に
一般公開されたなかで発掘が開始された。
・当時のアタリ社の責任者の証言では、728,000本が埋められたとされるカートリッジであるが、大半が予想よりも深い場所に存在し、発掘の難しさから1,300本のみを採掘。穴は埋め戻された。

③結び…本作の見処は?
確かにクソゲー…「E.T.」。
◎: ゲームソフト「E.T.」の不良在庫が眠る砂漠の発掘に挑む人々や「E.T.」の開発者たちへのインタビューなど、ゲーム愛に溢れる約60分のショート・ドキュメンタリー。当時の時代背景を知る人には、大変興味深いテーマを掘り下げている。
○:『レイダース/失われたアーク』のパロディ仕立ての演出はなかなかユニーク。
×: 本作のキャストに名を連ねる、ハリソンフォードとスティーヴン・スピルバーグ。彼らの映画シーンや写真が挿入されているだけで、本作登場というのはフェイク。
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