ゆーあ

マグニフィセント・セブンのゆーあのネタバレレビュー・内容・結末

マグニフィセント・セブン(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

職業も動機も性格もバラバラ、でも根底に流れる性質(タチ)は共通してる。そんな少数精鋭が熱く戦うチームものが大大大好きなので、この『マグニフィセントセブン』は日本公開が決まってから約7か月の間楽しみに待っていました。

で、感想:

期待通り!とか、これが観たかった!なんてもんじゃない…そんなの遥かに凌駕して、己の沸騰する血潮を唖然と体感することしかできなかった。あらゆる格好良さを過剰投与されオーバードーズで死んだ。更にそこにアドレナリンをブチこまれもう一度生き返った。そんなわけが分からないけどスゴイ体験をした気分だ!!

ベースはかの有名な黒澤明監督の『七人の侍』なので、プロットは基本的に同じ。苛政に苦しむ村人を救うため、7人の魅力的な精鋭が圧倒的戦力差をものともせずに戦い、暴君を撃退するというのが大筋です。

まずリーダのチザムが格好いい。黒い肌に黒づくめの衣装。そこに映える銀色の銃身。それがこれまた黒い馬に乗って登場する姿は、伝説上の存在のごときカリスマ性に溢れています。

そのチザムと、彼に仕事を依頼した未亡人(この女性も最後まで最前線で銃をぶっぱなして戦います。格好いい!)村の若者とで仲間集めを始めるのですが、このシーンもとても面白い。お調子者のファラデーとバスケスの罵り合いや、秘密を孕んだグッドナイトとビリーの信頼(依存?)関係など、7人の中でも相棒と呼べる組み合わせがあり、相乗効果で短い時間にキャラクターの魅力が何倍にも膨れ上がっています。最後にド派手な乱闘が控えていることが分かっている作品は、その準備シーンで中だるみしてしまいそうなものだけど、『マグ7』についてはこの時間のエピソードをドラマにして何話も観たいくらいだった。
グッドナイトのトラウマの正体やビリーの出自、レッドハーベストの民族のことなど語られざる事は沢山あるのだけど、気の利いた台詞回しにいなされ、自由に想像するのも愉快なものです。

さて大一番の決戦について!この手の作品で何より楽しいのは「罠」だよね!迎え撃つ大群が我らの土地をまたいだ瞬間、鬨の声代わりに轟くダイナマイトの爆発音!!ここで一気に血が沸き立ちます。そして各自が腕を魅せる中、ピタゴラスイッチ的に発動する罠の数々。日本の時代劇もそうだけど、西部劇における「村」ってある程度決まったモデルがあるじゃないですか。そのセットをどう生かして戦い、最高に盛り上げるか。そこに最もトリックを仕込める要素が「罠」だと思うんですよ。準備中の「(村を)死の箱にしよう」という台詞でもうワクワクが止まらなかったよね(笑)

この決戦で一番印象に残ったのは、ファラデーの最期。手練手管で勝機を引き寄せるギャンブラーとして「参った」と言わざるを得ない格好良さだった。あの瞬間ファラデーという男がどんな人間だったのかが永劫に、鮮やかに証明されたのだから、彼があそこで刻んだのは死に様ではなく、「生き様」だったのだなあと強く思う。それぞれの最期に関しては同時に容赦のなさも感じた。例えばジャックホーンが弁慶のごとくネイティブアメリカンの矢に射抜かれるシーン。一説には彼は家族を殺された復讐心からネイティブアメリカン狩りをしていたいわばパニッシャーのような背景があって、それが本当なら情状酌量の余地があるとはいえ、華やかには死ねない業を感じた。またグッドナイトが最期の最後に鐘楼台から落下して、ビリーの隣で死ねなかったのは、決戦前に逃げた罪の報いなのではと思った。考えすぎかもしれないけれど、何か大きな裁きの力が働いてるような、強い神性すら感じたんです、あの戦いには。まさにMAGNIFICENT(崇高)だなあ。

そんな感じで、通して粋で、軽快で、ド派手で、しんみりしちゃって、最後には映像と音楽の大津波にぐるぐるに飲み込まれて、情緒器官がぶっ壊れて何だかわからん涙が溢れてきた。不朽の名作の遺伝子を受け継ぐ7人は普遍的な格好良さと、トレンドに乗ったスタイリッシュさを併せ持っていて、まさに完璧な「現代の西部劇」だったと思います。7人の立ち姿、どの一瞬を切り取ってもポスターみたいに絵になる~~!!
ゆーあ

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