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ベイビー・ドライバーのneroのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.5
夏の大作ラッシュに紛れてこそっと公開されたっぽかったが、いやいやいやいや驚いた!!! ダークホースもいいとこじゃん!! たまにこうゆう作品に当たるから映画館まわりは止められないんだよね。

タイヤが軋みオイルが焼ける! 横Gぎゅぃんぎゅぃんドリフトじゃがじゃがじゃがじゃが! トランスポーターやドライヴを思わせるクールでハードなドライビングを見せる逃し屋BABY。 
彼が聴いてるIPODがそのままスクリーンの左右からBGMとは違う環境音として流れるって、新鮮な体験だった。これは一体感出るわあ! ロック系苦手な自分でも思わず体が動き出しちゃうダンシングドライビング! また選曲(♫)がまあ時代を超越してなんでもあり。ちょっぴりしか分からなかったが、ブルーベックにテキーラまで入って締めがサイモン&ガーファンクルだもんなあ。あとでサウンドトラックの曲名見てびっくり! これだけ見事にバラバラなのに映画としてのまとまり感がスゴイ。エドガー・ライト監督の音楽センスは並じゃないねえ。

養父との関係性を含め、余計な説明を省いたタイトな展開も心地よく、ギャングとの距離感の変化でドラテクに乱れが、なんつう微妙なあたりもまったくテンポが落ちない。次第に血腥さを増す緊張感がたまらん。 
し・か・も ここにボーイ・ミーツ・ガールの青春コテコテラブモーションがかぶさるという王道ロマンス展開。コインランドリーのシーンの美しいこと。ハイオクの燃焼ガスに硝煙の匂いと血の匂いが充満し死体の数が増えていく。そんな殺伐ストーリーなのに、最後はなんとも甘酸っぱいという、稀有な青春クライムアクションムービーだ。

<以下ネタバレ御免>

破滅へ向かって一直線の展開でもおかしくないところを、彼女のために車を降りて投降するベイビー。裁判で”何故か”情状酌量、5年の刑期を勤め上げ、仮釈放の彼を迎えに来たデボラの笑顔が最高の余韻を与えてくれた。
このラストシーン、彼女に見惚れててはっきりしないけど、車はたぶん59年シェビー インパラ コンバーチブル、衣装も60’sシルエットのワンピースというアメグラコーデ。白Tにジーンズのベイビーとの2ショットが眩しい。なんてロマンティックエンディング。思わず拍手しそうになっちゃった。
リリー・ジェームズ良いわあ♡
ケビン・スペイシーがぽそっと優しさを見せるあたりがまた渋い。
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