140字プロレス鶴見辰吾ジラ

モンスターズ/新種襲来の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

モンスターズ/新種襲来(2014年製作の映画)
1.7
×モンスター映画
△モンスターのいる日常映画
◯モンスターのいる非日常映画

かつて私の上司にあたる人が、「仮面ライダーのライダーキックの格好良さがどうとかではなく、そのライダーキックの威力が何トンなのか?ここが重要なんだ!」という話をしていた。

そうだ!
モンスター、怪獣に対してワクワクするのは
怪獣が身長何メートルで、体重が何万トンで、何処から生まれて、地球防衛隊の科学の推移を結集して動員した兵器を悉く破壊し尽くすところにロマンがあるのだ
だから私は小学校低学年のとき、一心不乱に画用紙にオリジナル怪獣図鑑を作成していたのだ!

だからこそ今作の発するメッセージ、つまりは人間の業により、無意味な戦争を強いられ失われていく命と破滅していく人生をモンスターが蠢く非日常の中での虚無感を飲み込めなかった。

良いシーンはいっぱいある。
モンスターはグレネードで倒すことができるも中東の敵勢力の攻撃で兵士の脚が吹き飛ばされたり、死体にハエが群がったり、捕虜となり仲間の死をみすみす救えなかったり、ショック状態で善悪の判断を逸してしまったり、

そしてラストの造形と轟々としたモンスターの発する音はの前に立ち尽くす虚無感は素晴らしいと思った。

ただ虚無感はこの作品の世界観だけでなく、作品自体からも感じられるのが辛い。

それこそ”イマドキ”を謳ったリアリティをモンスター映画に追求してしまった点だ。どれだけ”皮肉”や”リアリティ”を込めても、それが製作者側のエゴの部分で止まってしまい、いわば”ジャイアンリサイタル”の如く一方通行になっていた気がする。

映像美やモンスターの画面への割り込ませ方など、前作からの妙はあるが
「それがどうした?」
「この怪獣が人間を、街をどうやって破壊するのか?」
「最後に出てきたヤツの身長と体重はどれだけスケールあるものなのか?」
とギミックとテーマの乖離に虚無感を感じてしまった。それが狙いと言われたら、ただただ閉口するしかないのが、戦争を知らない我々なのだが…