LudovicoMed

パーティで女の子に話しかけるにはのLudovicoMedのレビュー・感想・評価

4.3
ジョンキャメロンミッチェルすげえー
最高にぶっ飛んでるのに、どこか美しさを感じさせ、思春期の多感な感性をパンクの精神に乗せて熱狂的に、でも繊細にも描かれ、ラスト付近にはこの映画のメッセージ性に感動させられる。
なんか今までにない不思議でよくわからない魅力がある。

オープニングの広角レンズのカットからトレインスポッティングみたいなティーンムービーを予感させ、音楽と映像の気持ち良さを提示させる。
この映画の一番の突出した部分はパンクによる社会の反骨精神だと思います。
異星人とのラブロマンスですが、恋におちる過程はすっ飛ばして物語に入っていく。

相手の内面まで愛すというのはラブストーリーのあるあるですが、本作はさらに上を行き体全体、存在全体を受け入れるというとこまで行き、その象徴としての異星人が描かれる。

それを体現するのが、言うまでもなくエルファニングが演じるザン。
このキャスティングが素晴らしく、いやらしくなりそうな所を彼女が演じることで可憐で少しのエロを残し、若々しいエネルギーでエキセントリックに、はみ出し者を演じている。エルファニングならあのキスシーンすらも許せてしまう。

この設定も含め役者のクレイジーな部分をこの上なく引き出しぶっ飛んだ本作は園子温監督作にも似てます。

このエネルギッシュなパワーをパンクでぶつける事で世界を変えようとする二人は人種どころか、異星種という「枠」を壊そうとする。 社会に反骨するのではなく、この設定になることで、現代社会の問題とかの余計な要素がなくなるため、よりストレートに熱が伝わりやすく、はみ出し者へのメッセージも送られている。

しかしラストでは二人が選んだ決断により、現実に戻されとても大人の冷めた着地になり、まさにティーンが大人になる過程を描きだされている。

個人的にこういう瞬間がホントにグッとくる。 その後の主人公の背中をそっと押すような優しい展開からのEDのBetween the Breathsあたりはもうやばいです。

青春×パンク、恋愛×SFのアンサンブルが素晴らしい、斬新で刺激的でも感動も与えてくれる本当に傑作だと思います。
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