「変身」に纏るローマ・ギリシャ神話をオムニバス風にまとめた文芸作品。

表現や解釈を現代風にアレンジしている上に、神様の名前が日本で一般的に知られているのとは違ったりするので、少々解りにくい。

男性は赤ちゃん以外は完全にボカシ有りだが、女性は一部のみボカシで殆どが無修正。
量によるのかな（笑）

エロスでは有る物の、エロくは無い。

　古代ローマ詩人・オウィディウスの「変身物語」を映画化。女子高生のエウロペは学校の帰りにユピテルと密会している。ユピテルの妻に浮気源bン場を見られ、女は瞬時にメス牛に変身させられ、その場をやり過ごす。ユピテルが信じられなくなりたびに出ると、ユピテルの子供バックスに出会い・・

　ギリシャ神話を現在に置き換えているが、森の中での描写が多く、全裸のシーンが多いので、時代設定も、季節感も感じさせない。森や川、雨などの質感を感じさせる静かなる描写の中、神秘的なギリシャ神話を同時進行の中に、誰かに話す物語を映像化した描写を挿入することで、現実の境界線を越え、摩訶不思議な世界がやがて違和感なく溶けていく。

　それぞれのエピソードにそれぞれの教訓がある。様々な変身にはそれぞれが犯した罪があり、それは観客にもしっかりメッセージを残す。ファンタジーでありながら、それをまた映画として眺めている観客がいたり、複数に層を積み上げ立体的に構成されている。つかめそうでつかめない、見たことあるようで、全くこの世の物と思えない。しかし神々の住む世界も閉鎖的で、人間と変わらない愛憎が漂い、当たり前にドロドロしているのだ。その手口に人間が巻き込まれるという皮肉が非常に面白い。

ギリシャ神話。
中級～上級者向け。
オウィディウスの「変身物語」を現代に置き換えたユニークな意欲作。

ギリシャ神話の正統、アポロドロスやホメロスの著作を正典とすれば「変身物語」は外典にあたるもの。でも真面目な正典より、外典の方が面白いのは世の常(^o^)

映画的には、全裸なのにスニーカー※を履いていたり、若干の特殊メイクの怪物が居たり、Gパンのゼウスが居たり…
良く言えば、寺山修司的なアバンギャルドなテイスト。
悪く言えば、衣装を忘れた学生芝居のゲネプロ。
※スニーカーは当然！勝利の女神ニケのスウォッシュが描かれたアレ。

「変身物語」を題材にしているので元々の物語を知らないと、何をしているのか理解出来ない。
ペニスは残念ながらモザイク有り。
カントは『具』が見えない限りモザイク無し。

【序章】牧神パンに変身させられた男。
高速道路脇の獣害駆除に出動するハンター。ポリタンクで水浴びをする女神と遭遇。女神はポリタンクの水を撒き散らし雨と化し、ハンターは山羊(ロバ)に変身させられてしまう。

【第１章】エウロぺとユピテル※。
※ユピテルはゼウス(ジュピター)の事。
①エウロぺの略奪。
校門前に屯(ﾀﾑﾛ)して談笑する学生。
そこへ赤い大型トレーラーが威嚇運転。学生の1人エウロぺは、大型トレーラーの運転手ゼウスと野外FUCK。

②イオとゼウス。
ゼウスの正妻ユノ(ヘラ)に情事がバレないように雌牛に変身させられるイオ。イオは、ヘラにより100の目を持つ怪物アルゴスの監視下に。
ゼウスの命令でアルゴスを退治するエルメス(メリクリウス)は、葦(ｱｼ)の笛でアルゴスを眠らせる。

③牧神パンとシュリンクス。
ニンフ(妖精)シュリンクスは好色なパンにレイプされそうになる瞬間、葦に変身！
葦の茂みにペニスを挿入する牧神パン。その葦で作られた笛は魔力を持つ。

④孔雀の目。
エルメスに殺された、100の目を持つアルゴス。不憫に思ったヘラは、100の目を孔雀の尾羽根飾りに変身させてあげる。

⑤老婦バウキスと夫ピレーモーン。
ギリシャ神話中、泣ける良い話。

⑥男と女、セックスで気持ち良いのは、どっちか？
両性経験者のテイレシアスが答える。女の方が気持ちいい、と。
その答えを気にくわないヘラは、テイレシアスを盲目に。

⑦盲目の医師テイレシアスの予言を受けるナルキッソス(ナルシス)
『己を知らなければ、幸福に生きるだろう』と。美少年ナルシスは、己を知りウットリ(>_<)

【第２章】バッカス(ディオニュソス)
酒の神バッカスは、ヤリタイ放題。
北欧神話のロキ同様、
ギルガメッシュ神話のエンリル同様、
日本神話の素戔嗚尊(ｽｻﾉｵ･ﾉ･ﾐｺﾄ)同様…
けっこう暴れん坊。
囲う女は、基本、全裸(´▽`)

【第３章】オルフェウス。
割愛❤

全裸は数多いものの、官能描写は控えめ。もっとグッチョグッチョでヌプヌプしたエロスを期待したけれど…
かなり高尚でシュールです。
ギリシャ神話を愛する方は、乞うご期待(^o^)