あまのかぐや

リメンバー・ミーのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ティムバートンの「コープスプライド」で、死者の国の楽しさやわくわく感を知ってしまったからにはまあ、いくらピクサーとはいえ、それを超えることはないだろう、などと思って臨みましたが。

(ほんとはブラックパンサー見るつもりだったの)


すみません舐めてました。
ほんとによくできていた。ピクサーやっぱりすごい。
そして観る前の「上からな態度」を悔い改めました。大号泣。

伝説や昔の童話やおとぎ話ベースのストーリーではないんですよね?これ?
まずそのオリジナルな「物語」を作り出した力を称えたいし、構想から制作に(2011年から?!)長きにわたる年月をかけたというのも頷けます。

オレンジや赤、黄色の原色の現世(生者の国)と、それにネオンカラーが加わったエンタメ感満載の死者の世界。「コープスブライド」のジャジーでファンキーな死者の世界とはまた味わいが違って、中南米の陽気さや屈託なさを感じた。

メキシコというと「麻薬カルテル」とかー「メスカリン精製」とかー「じんし(もうこのへんでやめよう)

などなど、これまで観てきた映画が映画なもんでほんと申し訳ないけど、そっちに頭がいってしまうのですが。裏を返せば、メキシコの人たちの死生観ってどんなんだろ、ってそこまで考えを及ばすことはなかったかもしれない。そこに生きて死んでいく人たち、そして死者と生者の距離感など、とても興味深く見ることができた。

きょうび、美しい奥行ある映像といったら、きっと何とでもなってしまうと思うののですよ。

モンスターズインクや、ベイマックス、ズートピアなどの創造世界が立体的に現実っぽくそこにあるのを見せられ、そのたび「うおー!すげー!(語彙力)」って思ってきたけど、そういうのってけっこうCGでできてしまう。それだけ映像は進化している。違うかな?

登場人物の皮膚の感じや、性格を移すような瞳の美しさなんかもね。ただ「綺麗な画」だけではないこともわかる。

でもね、やはり物語はね。目に驚きを与え、そして心を楽しませる映像。それだけじゃなく、そこに見る人があって、それぞれの感情や思い出や心があって。そこを震わせる「ものがたり」ってやっぱりすごいなーと思う(語彙…)

舞台はメキシコ。音楽が禁じられた家系で育ったミゲル少年が、血の中に生きる音楽家としての生き方を取戻し、家族をひとつにする物語。

途中で「あ、もしかして」と展開が読めてしまうけど、それでも、かわいくて一生懸命なミゲルや、まっすぐで愛情あふれるヘクターや、登場人物たちの姿に、そして家族たちの姿に、後半、涙がぼろぼろぼろ、と。邦題の「リメンバーミー」もいいけど、原題の「COCO」も「あー、なるほど」と。どちらも優劣つけがたいキーワード。

2011年からの構想製作と書きましたが、その間でメキシコの文化や伝承や、そして信仰や家族観など含め、いろいろな考証を重ねた上で、練られた納得のストーリーなんだろうな。と感じられる。ピクサー初のミュージカルの名に恥じない音楽も、あと、ママイメルダとか、ママココとか、エルネストとか…人物も名付けも。たぶんメキシコの人たちも「こんなんないよねぇ」などと違和感を感じさせるすきまもないほど。それだけハリウッド周辺やピクサースタジオに、メキシコからの人々が与える大きなマンパワーは勿論、力と影響と、それだけじゃない大きな尊敬の念と愛情を感じました。そうでなきゃ、こんな愛にみちた映画にならないよ。壁を作るなんてもってのほかだよねー!

それにつけても「JAPAN」の描写をみるたびに「ちがうやろ」「こんな苗字ないやろ」って相変わらず思っちゃうの…その点、日本の影響力よな(涙)

時間が合わなくて吹き替えでみましたが。…ミゲルの声優さん何者だ?!歌も本人だろうか、素晴らしい歌唱力。ママイメルダ役の松雪泰子さんも本人が歌ってたのかな、素敵でした。藤木直人さんは藤木直人さんでした。そういやヘクターって藤木直人さんぽい。
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