茜

リザとキツネと恋する死者たちの茜のレビュー・感想・評価

3.5
ファンタジー×インチキジャポネスク×ちょっぴりミュージカル×ちょっぴりオカルト。
全てが軽いタッチで進行して行くし、気軽に人がどんどん死ぬんだけど、この飄々とした空気がクセになる。

リザという内気な女性とトミー谷という日本人男性歌手の幽霊(死神)の物語で、違和感バリバリの日本文化や日本語がちょいちょい飛び出してくるのが笑えます。
でも「こんなの日本じゃない!」って腹が立つ感じではなく「これはこれで面白いじゃん!」っていう日本愛を感じるユニークな描かれ方が好印象。
監督はかなりの日本好きだなと思っていたら案の定で、この映画も来日時に「九尾の狐伝説」という話を耳にしてヒントを得たらしい。

あと何より良かったのがトミー谷のキャラで、やってることは残酷なのに画面に映るだけで楽しくなっちゃう不思議キャラ。
この人が歌うカタコト日本語の昭和歌謡もインパクト大で耳から離れなくなる!
トミー谷役の俳優さんは母親が日本人らしいんだけど、変な日本語すら愛らしくてファンになってしまいそうだ。

何とも不思議で奇妙な世界観なんだけど決して難解ではなく、主軸はしっかりとしたラブストーリーで分かりやすいというのも良い。
自分みたいにストレートなラブストーリーは苦手!っていう人でも楽しく観れる個性派作品と思われ。
茜