不思議だな、皮肉だな、でも妙にしっくりくるな、とも思う。
"神の街"が舞台の今作
リオデジャネイロのスラム街。
これは私の勝手な意見なのだが、治安の良くないと言われる街に縁起の良い名前がついている印象があるのだ。
横浜が地元だからかもしれない。
寿町、黄金町、日ノ出町、福富町、曙町。
字だけ見ると、まぁ縁起が良い。
どこも行った事のある身としては、スラムとは思わないがディープな街であることは確かだ。
コンビニのレジ付近に見たことのない量のワンカップが陳列されていて目を丸くしていたら、横にいた友人に「お願いだから、他のコンビニのレジ前も見たいとか言いださないでよ」と低い声で釘を刺された。鋭い。
その私の勝手な法則から言うならば、"神の街"最大級に治安が悪そうである。
1960年代から1980年代
ブラジル リオデジャネイロの郊外にある貧民街"神の街"。
そこでのストリートチルドレンの抗争を描く。
まだまだ先の長いMCU散歩の最中なのだが、2作目の『インクレディブル・ハルク』でブラジルの街が映される。その街並みから、ここスラム街だろうなと思った。
それで後回しにしていた今作を思い出した。
『インクレディブル・ハルク』のスラム街での逃亡シーンと違うのはこの"神の街"で銃を手に駆け回るのは、子供たち。
笑い声をあげて走り回る彼らの銃は、おもちゃではなく本物。
冒頭、銃を持って鶏を追い回す。
それは彼らにとっては日常茶飯事で、特別な意味を持たない事なのかもしれないとさえ思わせる。
けれども、物語が進むにつれそれぞれの想いや背景が描かれる。
その辺りの構成がとても巧みだと思う。
そして見事なカメラワークで躍動感をもって、切り開いたのはそこにある恐怖と、絶望。
実話が元になっているので、面白い!と手放しで喜びにくいし、これがただ"物語"だったらどれほど良いか、と思う。
凄い作品だった。