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森山中教習所のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

森山中教習所(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

大学生の主人公は夜の帰り道にヤクザの車に轢かれ気を失う。目覚めるとそこは非公認教習所(練習のみで運転免許試験は行わない)で、彼を轢いたヤクザは高校の同級生だった。ちょうど運転免許を欲していた主人公は無免許運転をしていたそのヤクザと共に教習所に通い始めるのだが......という話。原作のマンガは未見。

思いつきと衝動のまま動く主人公と、ローテンションで言葉遣いが丁寧なヤクザの対照的なキャラクターが面白く、ひと夏を過ごす彼らのゆるいやりとりが楽しめるコメディ。しかし、運転免許を取るまでの限定的な物語であることは冒頭から暗示されており、終盤はかなり切ない展開となっていく。
ヤクザになるため高校を中退した青年には在学中の唯一言葉を交わした主人公との思い出が脳裏に残っていて、再会後も裏社会に身を置く自身の境遇とは違い、奔放に生きる主人公に憧れに似た感情を抱く。主人公も定職に就かないDVの父親がいるというコンプレックスがあり、子持ちの憧れの女性への恋に苦しんだりもする。そんな二人がお互いの悩みを相手にだけ自然と吐露する関係性にほろりとさせられた。主人公は運転免許を取ることで自由を得るが、ヤクザは束縛されるといった意味のセリフも印象的だった。
二日酔い明けの朝に麻生久美子がいたら惚れそう。
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