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火の山のマリアの小のレビュー・感想・評価

火の山のマリア(2015年製作の映画)
3.6
コーヒー豆の産地グアテマラの映画。地主を許嫁とする、マヤ人で小作農の娘、マリア(17歳)に起こる出来事を通じ、マヤの先住民の生活、若者の欲望、母の愛、グアテマラの抱える闇を描いた作品かな。90分強の尺になかなか盛りだくさんな内容。

呪術性を残しながらも逞しく生活する先住民たち、といいたいところだけど、アメリカを知る若者達にとっては、こんな田舎にいられるかっ、てところだろう。マリアもそんな若者のー人。だから親の決めた結婚に反発し、自分の意志で生きようと行動する。

若気の至りは、しばしば挫折するのが世の常。そんな傷心のマリアを母は優しく包み込んでくれる。ああ、母は偉大だ。

マリアを守ろうとする母だが、スペイン語を話す都会の人とは言葉も通じない。先住民は市民としての権利はもちろんのこと、基本的人権すら、ないも同然。

素のまま、荒っぽい描写が、結構な本物感で、自分的には新鮮。ストーリーも飾り気なくリアル。馴染みの薄いグアテマラを知りつつ、田舎から出てきた自分を重ね合わせつつ、普遍的な母の愛に触れ、ちょっと懐かしさも感じる。

見ただけではピンとこなかったけど、こうして感想を書いてみると、なかなか味わい深そう。
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