とにかく主人公は木偶の坊で、失踪した彼女を探すのだが、という内容だが、無駄に長いし、内容が薄っぺらい。

「月に囚われた男」「ミッション: 8ミニッツ」よりも父親が有名な(笑)。Duncan Jones監督、Alexander Skarsgård主演で描くSFスリラー。Netflix映画。

本名David Robert Haywood Jones、イギリスが世界に誇る偉大な歌手David Bowieの息子Duncan Jones。「月に囚われた男」公開時は元気で息子と仲良く嬉しそうに取材に応じてた。彼自身が歌手と俳優を両立させた先駆者、両親の離婚で父方に親権の有った監督は、大学で哲学を学び博士号を取得する予定でも、映画製作への道を選んだ。エンドロールで父親David Jonesと乳母への感謝を綴ってる。実母では無いのも意味深。

本作で監督デビューする筈がソニーピクチャーズから、幾ら有名人の息子でもキャリア０の新人には規模が大き過ぎると「月に囚われた男」先に創られた。イギリスのギャング映画で構想が練られたが、監督デビューが噂されると舞台を大好きな東京に変更、主演をケン・ワタナベを抜擢して創る予定が、本作が予算が潤沢なNetflixに変わると設定も未来に変更された。東京が舞台のブレードランナー？、そのままやん(笑)。

「月に囚われた男」はSFハードボイルドの金字塔「ブレードランナー」畏怖を込めて創られ3部作構想で本作が2番目。ノンクレジットだがSam Rockwellもサム・ベル役。月に囚われた男と本作は同じタイムラインのベルリンが舞台、サムのエピローグも含まれる。レオがレストランでニッキーと出会うシーンで「ブレードランナー」レプリカントのゾーラが着たモノと似たレインコート。Bowie「ベルリン三部作」のアルバム「ヒーローズ」から「モス・ガーデン」レストランで流れる。オープニングもBowieの「Heroes」編曲は「コヤニスカッツィ」Philip Glass！。本作はNetflix初のドイツ映画。

【ネタバレ】物語の核心に触れる考察へ移ります。自己責任でご覧下さい【閲覧注意！】

私の専門はミステリーですが、監督はシチュエーションスリラーが得意と勝手に思ったら、大のゲーム好きで「ウォークラフト」アメリカでは不評の嵐でも中国ではバカ受けで「ゲーム実写映画で最も売れた作品」割と引き出しの多い才人。見た感じは「ブレードランナー」よりも「フィフス・エレメント」センテンスは近い。SFノワールは世界観も重要だが、本作もイギリス人らしいディストピアなガジェットも登場。

父親のBowieは実験的な音楽の先駆者で安易にロックと表現すると音楽ファンにドヤされる(笑)。監督も映画のセオリーを無視、ゲーム感覚の世界観で、好きなモノを何でもカンでも詰め込んだ闇鍋にも見える。ドイツらしいのは「アーミッシュ」立ち位置。ディストピアでもアメリカの占領下の様に描かれるが、アーミッシュとはアメリカで暮らすドイツ系移民、農耕や牧畜で自給自足に拘る。本作も意図的にデジタルを避けてた。

世界観は悪くないが、アメリカで不評なのは「話が分かり難い」コレに尽きる。実質的に3人の群像劇だが、物語が必要以上に入り組んで、話の筋を理解させる努力も足りない。観客に阿って語り過ぎる作品は多いが、本作は3人の話の終着点、オチも分かり難い。始めから群像劇を収束させようとする雰囲気も感じない。世界観がカオスなのは「フィフス・エレメント」同じだが、私には反則的に物語を無理くり繋げた様に感じた。

私は見たモノを言語化したり、作品を因数分解するのは好きだが、本作の言葉足らずには弁解の余地が無い。カナダの有名監督の息子も同じだが、哲学的な世界観には共感出来るが、プロットが穴だらけで説得力に欠ける。自分の描きたいモノと観客が求めるモノ。商業的に上手く纏めるのが良い監督の分水嶺。映画は芸術だが自分の懐を温めるのは観客が金を払ってるから。ソレが一番良く分ってるのがTom Cruise。彼ほどの俳優が空で軍用機にしがみ付く(笑)。だから、観客も拍手と入場料を惜しまない。

まぁ、責任の一端はNetflixにも。潤沢な予算を与えるが、作品の中身には手を突っ込まない主義。日本の「地面師たち」面白さと同じく、良い方向に転がれば地上波のドラマが実に薄っぺらく見える。しかし、本作の様に監督の好き放題では「締まり」なく為る。ハリウッドが注文が多過ぎでクリエイティヴも台無し、よりはマシだがライバルのAmazonは名門MGMを買収して映画の基礎を取り入れた。本作の製作が2018年、2025年に改めて見てもNetflixも映画創りの転換期を迎えてる気もした。

ド直球な「ブレードランナー」インスパイア。私的には支持したい気持ちも有るけど(笑)。

ダンカンジョーンズ監督なので楽しみにしてたんですけど、なんとも言えないですねぇ〜
『月に囚われた男』と『ミッション:8ミニッツ』大好きなんですよ。『ウォークラフト』は観てないんですけど。最近観た『オルタードカーボン 』にもあんまりハマらなかったので、あれ？私サイバーパンク向いてない？とか思ったんですけど、昨年観た『ブレードランナー2049』は好きだったんでそういう訳じゃなさそうです。
子供の頃に事故で声を失った男が主人公です。そんな彼の恋人が突然失踪してしまい、さーて探すぞー！というお話ですね。
面白くなりそうな雰囲気はずっとあるんですけど、面白くならない何とも歯がゆい映画でした。最後にきっと大仕掛けがある！と思って期待してたら特になにもなく終わっていった感じです。
主人公が彼女を探すって事以外なにも無いんですよね。この男がどういう人か全く見えてこない。私観察眼に乏しいんでしょうねきっと。モヤっとして仕方ないんでモンハンでもやってスカッとするとします！