小

シング・ストリート 未来へのうたの小のレビュー・感想・評価

4.0
主人公コナーのあり方がとても良い。グレてもおかしくない状況で、自らの欲望に純粋で、真っすぐに進んでいく。若いうちは自分にとっての”何か“があれば、大丈夫だ。

1985年のアイルランド、ダブリン。大不況の中、父親が失業し14歳のコナーは荒れた公立校への校を余儀なくされる。両親はケンカが絶えず、事実上、家庭は崩壊。学校では同級生からいじめにあうだけでなく、校長からも容赦のない指導を受ける最悪な日々。

ある日、街中で見かけた大人びた女の子に心を奪われたコナーは女の子の気を引くため、自分のバンドのPVに出演しないかと誘ってから、慌ててバンドを結成。音楽マニアの兄から助言を受け、グングン力を付けていく。

きっかけはなんだっていい。打ち込めるものがあるということはとても素晴らしい。そして、過去を振り返らず、未来だけを見つめる。もうそれだけで、生きていける気がする。

個人的に気になったのは兄。彼は自分の欲望に従って音楽に熱中してきたというよりは、息苦しい生活の中で、こういう生き方もアリなのではという道を切り開いてきた感じらしい。

弟コナーの父親役を務めたからこその苦悩を抱える兄。しかし、成長するコナーから生きる力をもらうみたいな。自分を投影するとしたら兄の方。

14歳のレベルをはるかに超えるオリジナル曲がとても良い。サウンドトラック欲しいかも。
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