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脱脱脱脱17のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

脱脱脱脱17(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ある事情から高校生活17年目を迎える34歳の主人公はこれまたある事情で毎朝屋上で応援歌を熱唱することが日課。一方、主人公のクラスメイトで嘘泣きと歌唱力が取り柄のヒロインは過去に両親が離婚しており、同居する母親ともぎくしゃくしていた。ある日、母親と口論になったヒロインは家出する。幼い頃に出て行った父に会いに行くというヒロインに、何故か主人公が同行することになるのだが…という話。

監督は子役出身で女優としても活動する松本花奈で、撮影当時17歳という若さで話題に。僕は竹内結子主演の「サイドカーと犬」で子役時代の彼女が準主役で出ていたのを覚えていて、かなり演技上手かったと記憶している。
元々、本作はMOOSICLABという音楽と映画のコラボに特化した映画祭の出展作で、その関係からか主演はガールズバンドthe peggiesのボーカリストが務めており、彼女らの曲をフィーチャーした作品となっている。

あらすじではオジサン高校生と女子高生2人が旅をする青春ロードムービーかと思っていたが、特に旅はせず、ふとしたことから彼らが働くことになるストリップ小屋がメインの舞台になっている。ストリッパーやその娘など登場人物もかなり多め。それぞれ暗い過去とわだかまりを持つ主人公とヒロインが、ひと夏の交友を通して前進する姿をエネルギッシュに描いている。
正直、ストーリーは説明不足だし、感覚的な表現が目立っていて万人が楽しめる映画ではないと思ったが、17歳で撮った作品とは思えないレベルの高さを感じた。また、若い女性監督なのにストリップ小屋の内情やショーの描写がやたらと詳細で、遊泳シーンを含めたフェティッシュな映像も生々しくて驚かされた。
残念なのは、肝心の主人公が17年間高校生をやっている理由と解決策が、同じオジサンの僕にはいまいち納得しづらいものだったこと。彼が応援歌を毎日歌い続けることが贖罪めいたものなのとは感じたけれども。
あと、各役者さんの声量と劇中歌の音量にものすごい差があるため、一番声の小さい主演の女の子にボリューム合わせてイヤホン付けて鑑賞していると、曲が流れた時の爆音で耳がやられそうになった(^^)
主演のミュージシャンの演技は及第点くらいの印象だったが、やはり唄はものすごく上手いので、歌唱シーンや劇中歌が流れる場面は存在感が増していた。終盤もやはり整合性のない展開にはなるのだが、役者陣の熱演による尋常ではないテンションには圧倒された。エンドロールはオジサン主人公の旅立ちを連想させる下校シーンで締めくくられるのだが、オジサンが歩いているだけなのに、よく分からない感動があった。
メイキングで監督やスタッフが出てくるのだが、みんなめちゃめちゃ若い。でも監督は17歳にしてはかなり落ち着いていて演出とかの指示も堂々としていた。
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