このレビューはネタバレを含みます
【戻りたい過去はある?】2023年60本目
期待する冒険活劇のインディアナジョーンズを期待すると面食らいますが、ジェームズマンゴールドとハリソンフォードのいぶし銀な大人のインディを見せつけられたといったところでしょうか。
引退したインディの変わらぬ冒険心と野心はそこそこに、どちらかというと自身の余生の義務とか後悔にスポットを当てていて、彼の生きてきた過去という産物が様々な人間に影響を与えてきたことを感じさせる内容となっていました。
マリオンのこと。息子のこと。
今作では、大学の同僚も撃たれて死んでいます。彼の巻き込み力は悲劇すらある。
年老いたインディに対する誰かからのいじりみたいなものはなくて、まだ一線で活躍できそうなパワフルな印象を見せる。
だからといって走り方は少しぎこちないし、身体も魔宮の伝説ほど引き締まっていない(十分筋肉質だけど)。
敵対するナチスの残骸演じるはマッツミケルセン。彼の演技力が、今作の必見所でした。
どうしてインディの集大成となる作品を公開しようと考えたのか。
ハリソンへのお膳立てか?
クリスタルスカルの賛否両論へのアンサーか。
今作でもそうですが、インディはかなり人付き合いが下手である。それもどこか自分勝手。過去を変えたいことといえば、息子のこと。マリオンとの復縁もどこか不自然。
トップガンマーヴェリックのトムクルーズと似た探究心は感じるが、最終的に大団円とはならない地味な印象となってしまった今作。
紀元前へタイムスリップしたインディが、ここで余生を過ごしたいとしてしまうのもなかなか突拍子もない気もする。
結局彼の恋人、親友とは"過去"だったのだと気付かされるのです。
過去に恋して、そのロマンに陶酔する。
それがインディなんだと。
だから父親の死、息子の死、そういった過去も受け入れてインディはマリオンと共に余生を過ごす。これをとにかく描きたかったのかなと思いました。
どことなくキャプテン・アメリカ(ロジャース)の描き方とも似ていて、長い間お疲れ様でした!と労いの言葉をかけたくなるエンドでした。