140字プロレス鶴見辰吾ジラ

オクジャ okjaの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
3.6
【ティルダ・スウィントン】

「スノーピアサー」で圧巻の怪演と、明るく楽しい居心地の悪さを演出したポン・ジュノ×ティルダ・スウィントンのコンビに拍手を!そしてとち狂ったジェイク・ギレンホールも。

食糧危機のため遺伝子操作で生み出されたスーパーピッグの脱走シーンを「グエムル」と同じ手法でコミカルに日常に明らかに居心地の悪い異物を混入させた本作は、脱走とカーチェイスの娯楽に彩られ、昨今のヴィーガン問題や動物虐待問題を照らし出す。ポン・ジュノは韓国外に出ると途端に抑制が不十分になるが、田舎少女と巨大家畜(冒頭で知能も高い)の織りなす再会の話と、動物解放戦線の同一線上であってズレた部分、相手のサイコ経営者のビジネスのみにて動くマシーン性は悪くない。ある程度までコミカルに徹した後に、食肉工場のシークエンスの笑いがスッと消えて、何より重く映画を我々にのしかける術は健在。

「スノーピアサー」に感じたポン・ジュノのアウェイゲームでの突き抜け不足も、終盤の展開でNetflixへと誘われた本企画において、ロングショットの悲劇をクローズアップして突きつける静かなラストは印象的。