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アルジェの戦いのHKのレビュー・感想・評価

アルジェの戦い(1966年製作の映画)
4.0
観ようと思ったキッカケは主題曲がエンニオ・モリコーネの作品集にはたいがい入ってて一度聴いたら忘れられない曲だった(後の『アンタッチャブル』のテーマ曲は本作と『ウェスタン』のハーモニカのテーマの融合)のと、知人のビデオライブラリーで見つけたから。

かつてフランス領だったアルジェリアの独立戦争を描いており、1966年ベネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞、その年のキネ旬でもベスト1。
予想以上の優れモノでした。
フランス軍とアルジェリア民族解放戦線(FLN)の攻防があたかも実録フィルムのようにリアルに描かれ、まさに仁義なき戦い状態。

現地オールロケで実際の市民が約8万人参加。有名俳優が出ていないこともドキュメントのような現実味と緊張感を高めています。
市街での爆弾テロや白昼の官憲襲撃など、今でもその手の活動を行う側、防ぐ側双方の組織のマニュアルになっているという恐ろしい映画でもあるそうで、似たような爆弾テロや暗殺シーンは確かに多くの映画でも見かけます。

で、舞台となるアルジェのカスバ地区の入り組んだ路地の風景、アレッ、見覚えがあるぞと思ったら先日観たフランス映画の古典ジャン・ギャバンの『望郷』の舞台でした。
こちらはアルジェリア戦争の約20年前、本作の約30年前に製作された映画ですが、一目でわかる風景のこのカスバ、ユネスコの世界遺産に登録されているそうです。

本作はベネチア映画祭の受賞時には反仏的ということで仏代表団が怒ってF・トリュフォー以外は退席したそうですが、多くの著名な監督たちがこの映画の価値を高く評価しベストフィルムだと公言しています。
FLN側のフランス人居住区での無差別爆弾テロで多くのフランス人が死傷するのも描かれており決して反仏だけに偏ってはいません。
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