バルバワ

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのバルバワのレビュー・感想・評価

4.1
今回、両隣がおじいさんとおばあさんでした。私を含め三人とも"ビクッ"となるタイミングが同じでいつもより3倍席が揺れました。なのでちょっとしたアトラクション気分で鑑賞することができました。

今作はハッキリとした胸糞映画でした。もうね、面白いんだけどもどういう気分になれって言うんだ!実際観ている最中「本当に人間って嫌!」って何回も辟易としましたし、意地悪なシーンが多くて最悪でした。なのに目がスクリーンから離せなかったのも事実でして…コノ,ヒトデナシィ!p(;´皿`p)

作中の登場人物は軒並み自己中心的で自分の為、欲ならどんなこともする奴らばかりです。しかも普段は紳士淑女ぶっているクセにいざ自分達の身が危うくなると人に責任をなすりつけたり、他人に当たり散らす素晴らしい人間性も兼ね備えてます。終盤の自分が助かりたいが為のゴマスリ合戦はもう見苦し過ぎて見てられなくて必見です。

あと、主人公の一見仲睦まじい理想的な家族の普段は裕福さでひた隠しにしている不和が中盤以降一気に溢れ出す感じもキツい…けど面白い!終盤のドキドキデスルーレットなんて悲惨な状況なのに俯瞰で見るとマヌケ過ぎて堪らない!そして、最後ある人物がある人物に目配せをし、微かに笑うシーンで「もしかしてグル?」と勘繰ってしまう程家族はズタズタになります。

そんな人間の醜い本性を作中では言葉だけで炙り出すバリー・コーガン扮するマーティンがもうキモくて不穏で不気味で…もう最悪(←褒めてます)!こいつのスパゲッティを食べながら主人公の奥さんに話掛けるシーンは暫く頭にこびりついてしまいそうです。

でも、あんまりにも救いがないし、子ども達が床を這うシーンは胸をしめつけられて個人的にはモヤモヤしましたし、自分の中の嫌な部分を強引に見せつけられた気分になりゲンナリしました…『コクソン』や『プリズナーズ』とか好きなら大丈夫かもしれません。先日観た『15時17分、パリ行き』と対照的にひたすら利己的な人間しか出てこない怪作でした。
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