フレンチノワールということだけれど、人間ドラマがメインな感じ。鑑賞後に知ったところによれば監督自らシェークスピアの『ハムレット』を下敷きにしたと語っているとのこと。
パリで仲間と強盗に明け暮れるピエール・ウルマンはある日、父が野垂れ死にしたことを知らされる。ダイヤモンド商家一族の長である伯父のせいだと恨みに思うピエールは一族への復讐と、ダイヤモンドを盗むことを誓い、伯父の住むベルギーのアントワープへと向かう。下調べのため伯父のもとへ潜入したピエールは初めてダイヤモンドに触れたことで…。
『ハムレット』を観たり読んだりしていれば良かったのかもしれないけれど、ピエールにあまり魅力を感じなくてノレなかった。ピエールって誰かに言われて右往左往したり、ダイヤに翻弄されたりで、ふにゃふにゃしている。
そんなピエールの優柔不断さを描くことに徹底するのかと思いきや、原石を見つめる瞳のアップを何回か使い、ダイヤの魔性に取りつかれてしまったみたいな雰囲気も出しているから、はっきりしない物語だなあ、と。
映像表現によって登場人物の心理をじっくり楽しむ映画だったのかもしれないけれど、そうした鑑賞能力がただでさえ弱いのに、眠かったこともあって…。
あまり面白くないなあと感じた一方で、新人監督賞とか新人男優賞とか取っていることからみて、しっかり見れば案外面白かったのかもと、ちょっと残念。
●物語(50%×3.5):1.75
・面白いような面白くないような…。見る人が見れば、自分も集中できればきっと面白い、かな。
●演技、演出(30%×3.5):1.05
・ 監督はシネフィルで、いろいろな監督の影響を受けていて、視線や演出などを参考にしたとのこと。 そういう意味でもやっぱり通好みかな。
●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・印象的にダイヤを見つめる瞳はヒッチコックとかの影響だろうか。