動物園に勤める青年医師リップは落ち着かない動物たちの行動に不審な物を感じる。その後、ネズミに襲われるカップルやシステムダウンにより動物園から脱走した猛獣たちが人間に襲い掛かり街はパニックに…というストーリー。
動物園を脱走した猛獣たちが街中で人間に襲い掛かるイタリア産のアニマルパニックホラー。
水道水に麻薬が混入し、それを飲んで錯乱した動物園の猛獣たちが暴れだして、システムダウンした動物園から脱走して人間に襲い掛かるというシンプルでそのまんまな内容ですが、冒頭から泡立った水が流れる映像と動物園の看板がしつこく映し出されてこの水が原因で動物たちが凶暴化するということがとても分かりやすく示されます(笑)エスカレーターの横に捨てられた沢山の注射器も原因を示してましたね。
本作一番の見所である凶暴化した動物たちの暴れっぷりは、時代もあって本物の動物使ってるだけあって迫力も見事でしたね。車の中で乳繰り合ってるカップルが下水道から溢れ出てきたネズミの群れに襲われるシーンは、まず車の横で本物の猫が本物のネズミに群がられますし、襲われるカップルも勿論本物のネズミに群がりつかれます。しかもその本物のネズミを火炎放射で焼き払うのはこの時代だからできた衝撃的すぎる映像。動物園の猛獣たちが暴れまわって脱走するシーンも、壁を突き崩してゾウの群れが暴れて、それによってコンピューターが故障して檻から出たライオンやヒョウ、ピューマが飼育員に襲い掛かるシーンは本物の猛獣たちが役者さんたちに飛び掛かっているので迫力凄いです。後半で畜産農場襲ったライオンの群れが牛に襲いかかったり、ハイエナが豚の耳に噛みついたりするシーンも本物を用いて撮影してます。動物園の動物だけでなく、動物園で水飲んだ盲導犬が盲人に襲いかかってかみ殺したりもします。
都市部に出た猛獣たちの暴れっぷりも見応えタップリでした。車を取り囲んだゾウの群れが長ーいお鼻で絞殺したり、女の頭部踏みつぶしたり、滑走路に侵入して飛行機と接触して飛行機変電所に突っ込んで停電引き起こしたりゾウさん大活躍(笑)チーターと乗用車のチェイスシーンや牛の群れが道路を大移動して店に突っ込んだりするシーンは今じゃ撮影不可能ですね。チーターのチェイスシーンは迫力あった。また、停電して停車した地下鉄の車両にトラが乗り込んできて襲い掛かってくるシーンは逃げ場ない状況でかなり怖いですし、ヒロインの娘が通う学校にシロクマが侵入して追い掛けてくる所も怖かったですね。
また、動物に驚いた車が止まってる車に突っ込んだり吹っ飛んで店に突っ込んだり、バイクが車に突っ込んだり、車同士衝突して炎上したりと二次災害の描写も力入っていました。
ネズミに食い荒らされた死体のグロさや襲撃シーンの残酷な感じはイタリア映画らしいですね。
主人公のリップは警部と共に事態解決の為に奔走しますが、全く役に立ってないしなんかのほほんとした雰囲気が漂ってるんですよね。
終盤、水道水飲んだ子供達も発狂して大人を殺して刃物持って笑いながら襲い掛かってくる所は「ザ・チャイルド」を彷彿させて中々後味の悪さ漂うラストになっています。
結局逃げ出した猛獣たちが回収されるシーン殆どなくて、水道水に麻薬が混入した理由も明らかにならないまま、テロップで示されるラストはアッサリしすぎな気がしますね。
80年代らしいエグイシーンも多めで、本物の動物使った襲撃シーンやクラッシュシーンも迫力あって、アニマルパニックとしては結構いい出来の作品だと思います。