河豚川ポンズ

こころに剣士をの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

こころに剣士を(2015年製作の映画)
3.7
激アツフェンシング教室な映画。
さすがにこの紹介だと終始フェンシングしてそうなイメージですが、ストーリーの中心は子供たちとのふれあいです。

1950年台初頭、エストニアの田舎町に赴任してきた新任の小学校教師のエンデルは、実は大戦期にはドイツ側についていたためソ連の特高警察から追われている身だった。
彼は体育教師であったため何かスポーツを教えることになるのだが、スキーを教えようと思っても道具が軍に寄贈されてしまったりと思うようにはいかず、そもそもエンデル自身が子供が苦手だということもあってなかなかうまくいかなかった。
そんなとき、彼が一人でフェンシングの練習をしていると生徒の一人のマルタに見られてしまう。
エンデルは元々フェンシング選手であったが、初めに校長からフェンシングは貴族のものでふさわしくないと却下されていた。
しかし初めて見るフェンシングに興味深々のマルタはフェンシングを教えてもらうように頼み込む。
渋々エンデルはマルタに流されてフェンシング教室を開講することになるのだった。

二次大戦が終わって疲弊しきった町でも、そこで懸命に生きる子供たちと、それとは対照的に絶望して諦めきった状態でスタートするエンデルとの対比は、エンデルが痛々しくかわいそうになってしまいます。
子供たちの夢と自分の命を常に秤にかけられ続けるという葛藤の中で、少しずつ子供たちへの思い入れが高まっていき、そしてそこからラストのフェンシングのシーンはまさに手に汗握る闘いの連続で、それこそ「ロッキー」を見ている気分でした。
正直フェンシングなんてオリンピックの中継で一度見たことあるか程度の知識しかありませんでしたが、そんなことはお構いなしのヒューマンドラマでした。