Filmoja

女神の見えざる手のFilmojaのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.0
有能な女性ロビイストが、アメリカ銃社会の規制に挑む。本音と建前を使い分ける企業と政界の実力者、その暗部を鮮やかに映し出す描写が実に痛快でリアル。
今や、票や世論ですら金で買うこの時代に、人生と信念を懸けて一点突破を目指す実直でしたたかな主人公の強さに、胸が熱くなる。

潤沢な資金力でもって、圧倒的に不利な賛成派を潰しにかかるライフル業界。
それまで保守派を気取っていたロビイストが、味方を欺いてでもあらゆる手を尽くして法案成立に近づいていく。周囲との軋轢から孤立していく主人公が、ギリギリの状況で犠牲を払いながらも、決して諦めないその気迫に鳥肌が立つ。

常に相手の一歩先を読み、確信するまで手の内は見せない手法で勝ち続け、他人を利用してきた彼女が、次第に信頼関係の大切さに気づいていく展開が秀逸。
腐敗した政治とカネ、分断される民衆、自己防衛か規制強化か。女神の見えざる手は、引き金を止められるのか。

今でも銃乱射事件が絶えないアメリカの、良心と皮肉が込められた衝撃の社会派ドラマ。
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