八木

おとなの事情の八木のレビュー・感想・評価

おとなの事情(2016年製作の映画)
4.0
1シチュエーションの映画なので、見た目があんまり変わらずまったりした感じはどうしても否めなかったです。が、会話だけで少しずつ登場人物たちのキャラクタが浮き上がってきて、7人の小さなサークルに対してわずかなひび割れが致命傷になって、あっという間に居心地悪くなるスリラー感はとても楽しかったです。全体で96分という短さも、画替わりの少なさを考慮されていて、行き届いた印象を受けました。
「隠し事がなければ携帯電話は誰に見られてもよいはず」という理屈が、あっているようで全く見当違いであることがよくわかります。映画でなくとも、テレビのトークのネタとして、恋愛や親愛についての会話でも挙げられやすいので、改めて考えさせられる題材です。隠し事が仮にない状態があったとしても、いうべきことといわないほうがよいことは両方『事実』として共存が可能なわけで、その辺を調整するのがコミュニケーションということですな。まあ、この映画の場合はあらかじめ破たんが約束されているような秘密がいくつかあるが。
が、ラストの展開は急だったのであんまり理解が追い付きませんでした。この一夜で明らかになったことはゲームとして割り切れたっていうことでしょうか。原題は「赤の他人」ですので、明らかになった事情については、所詮他人同士の出来事であって、このサークルにおけるつながり自体がとても弱く、どうでもよく、不安定だからこそ復活することも可能で…というような意味なのかな?と帰り道に考えておりました。
コメディとしていくつかはっきり劇場で爆笑取ってるところもよかったです。コメディの山場は「携帯の交換」てことになるのでしょうが、常にペッペの表情がぼんやり映るカメラの位置が最高でしたね。
僕にとっては見返したくなるような映画ではなかったですが、見て満足感のあるシャレオツ映画だと思います。出てくる女性はどれもエロくて美しいです。コジモの奥さんのビアンカさん(一番嫌いな女だった)は非常に上地雄輔に似ているので注目してください。
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