このレビューはネタバレを含みます
有段者の父親に剣道を教え込まれた主人公だが、ある事故が原因で今は剣道から遠ざかっている。一方、主人公のかつての師に剣の才能を見出された高校生は剣と死の魅力に惹かれていく。両者は遂に決闘するに至るのだが…という話。
予告編のインパクトが凄かったので鑑賞。
心身を鍛える側面がある部活や一般道場の剣道とは異なり、相手を殺す強さを求道することに魅入られた剣士の葛藤と再生を描いた作品。エンターテイメント性は薄いが、剣を交えて闘うシーンは迫力と緊張感が半端ないし、映像表現も独特。もう一方の主人公である高校生だけ剣の道に入る前は手持ちカメラで撮影して世界の違いを表現していたのだが、剣の道にのめり込むに連れて他の登場人物と同じ撮り方に変わっていくところが印象的。
俳優陣の演技は鬼気迫るものがあって、特に主演の綾野剛と村上虹郎の台風の中での決闘シーンは凄まじい。道場での綾野剛の暴れっぷりも見応えがあった。村上虹郎は体格的にちょっと斬撃が軽いなと感じたが、狂気をはらんだ芝居が物語を引っ張っていた。2人とも裸のシーン多いが上半身が鍛えあげられている。
とはいえ、本当に娯楽性に乏しく、盛り上がるまでが長い。決闘後の父子のエピソードも間延びしている印象を受けた。
父親役の小林薫が終始仏頂面なのだが、終盤に見せる笑顔がそれまでのギャップで癒される^_^
