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タシケントはパンの町のryosukeのレビュー・感想・評価

タシケントはパンの町(1968年製作の映画)
3.6
余白がたっぷり確保されたシネスコサイズのロングショットによる風通しの良い映像が気持ち良い。少年の汽車との追いかけっこ、乗車率400パーセントはありそうな汽車の屋根に二人で座る姿も瑞々しいエネルギーが感じられる。
盗みは悪いことだ、地主がするようなことだとか、正直ならそんなに金を持っているはずがないとか子供にイデオロギー台詞を言わせるのはご愛嬌か。子役に汚い素足にキスさせるのちょっと凄いな。
友達が死んだと聞かされてまず交換用の品が入った袋の心配をする子供の描写に、ひりつくような貧困に囚われた余裕の無さが現れる。遺品を燃やす炎の地獄のような禍々しい光景。
中盤のテンポが悪く、コンディションもイマイチだったのか中盤以降めちゃめちゃ寝てしまったのが残念。汽車の屋根の上から白軍の兵士を突き落とす魅力的っぽい活劇とかあった記憶はあるが...。結局タシケントで何が起こったのか全く把握できず。
荒凉としたえげつないラストの中で、タイトルが少年の台詞として登場して静かに終わっていく。機会があれば再見もありかな。
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