福岡県筑豊地方は、明治以降、炭鉱開発で栄えた場所である。記録作家・林えいだい(82歳)は筑豊にある朝鮮人部落や無縁墓地の跡を訪ね、戦争によって日本に徴用された朝鮮人たちの、悲しみの記憶をたどる。若いころは北九州の公害問題に取り組み、その後フリーとなって、カメラとペンを携え、これまでに執筆したルポルタージュは50冊以上。癌に侵された現在でも震える手をテープで固定しながら執筆活動を続けている。神主だった父親の寅治は、炭鉱から脱走した朝鮮人たちを、自宅に匿い、警察の拷問で命を落とす。林が反権力を貫く原点はそこにある。現在彼は、終戦間際に軍に処刑された朝鮮人特攻隊員について、取材を行っている。民族差別ゆえに処刑された冤罪事件とみて、その真相を探ろうというのだ。
慰安婦たちは性奴隷だったのか?強制連行は本当にあったのか?慰安婦問題論争の日・米・韓の中心人物にインタビューを敢行し、激しく対立する互いの主張を丁寧に聞いていく。さらに、多くのニュース映像…
>>続きを読むすでに日本の敗色濃厚だった1945年1月31日、一人の男が沖縄の地を踏んだ。戦中最後の沖縄県知事となった島田叡(しまだ・あきら)である。 沖縄戦を生き延びた住民とその遺族への取材を通じ、こ…
>>続きを読む1958年、フランクフルト。戦後十数年が経ち、ドイツは経済復興の波にのり、人々は戦争の記憶を忘れつつあった―。大きな野心を持つ若き検事ヨハン・ラドマン(アレクサンダー・フェーリング)だが、…
>>続きを読む米軍が上陸し、民間人を含む20万人余りが死亡した沖縄戦。1944年の晩夏、42名の「陸軍中野学校」出身者が沖縄に渡った。北部で展開されたゲリラ戦やスパイ戦などに動員されたのは、まだ10代半…
>>続きを読む「僕にとってまるで奇跡やな。奇跡の出来事や―」 ⻑い間ゲイであることを誰にも打ち明けることなく、孤独の中で生きてきた⻑谷さん。唯一の拠り所は文学、詩作だった。1963年に現代詩の新人賞とし…
>>続きを読む1987年、富山県城端町西明、三輪バイクで町を行く稲塚権次郎の姿があった。90歳近くなっても、バイクを乗りまわすことは近所迷惑となっていた。明治末期、貧しい農家の長男に生まれた権次郎は、向…
>>続きを読むデヴィッド・ボウイをはじめイギー・ポップ、マーク・ボラン、YMO、寺山修司、忌野清志郎など、時代の寵児たちのきらめく瞬間を捉えた写真家・鋤田正義の創作活動から人柄までを追った初のドキュメン…
>>続きを読むノーベル平和賞候補になり、朝日賞や埼玉県民栄誉賞などを受賞した水墨画で風景画家の丸木位里(1901‐1995)と人間画家の丸木俊(1912‐2000)夫妻は、「日本人側から見た記憶を残して…
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