平野レミゼラブル

HiGH&LOW THE MOVIE2 / END OF SKYの平野レミゼラブルのネタバレレビュー・内容・結末

HiGH&LOW THE MOVIE2 / END OF SKY(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ぎょええええええええええええええええええええええええ!!!!!!超面白ェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!

というわけでハイロー映画版としては3作目のザム2である。前回のレッレが微妙にコレジャナイ感があった中、ザム2はというとザム1の駄目だった部分を徹底的に潰して、良い部分を徹底的にブラッシュアップしまくったというハイローのエンタメ性を極限まで高めまくる傑作になっていて本当にビックリした。
本当に今回、見せ方が完璧なんですよ。冒頭から各陣営のアクションを見せつけるドラマ1期みたいなキャラ紹介の流れで掴みはバッチリ。そこからはもう各アクションが「ナニコレ!?こんなの見たことない!!」の連続で、それがカーチェイスから、何でもありの集団戦まで様々な味付けで見せつけられる。さながらイクラからウニまで乗った豪華海鮮丼といった趣。
そしてザム1では戦闘のノイズに感じたウェットな部分やちょっとしたギャグは、ちょうどいい尺とタイミングに収まっていて小慣れた感じだったのが素晴らしい。凄いアクションを阻害する要素がないため、全ての戦闘を最高密度で鑑賞できる。もうザム1からのお約束なのに各勢力のテーマソング流しながら集結するところ、最高に熱いですからね。これは本当に邦画アクションの天辺取ると心から納得できる。

…とはいえ、後から冷静に考えると凄まじい数のツッコミどころは噴出しまして、最大のツッコミどころとして挙げられるのが前半のUSB争奪戦。いや、観ている時は駐車場やカーチェイス、走行中の車に飛び乗ったりしがみついたりの大迫力アクションの連続で単純に大盛り上がりだったんですけど、後から考えるとあのくだり丸々要らないんですよね。そもそも琥珀さんがさっさとリークしてれば起きなかった争いなので、マジでなんでこんなことになってるのか意味不明という。
動機がふわふわしてるって他の映画だと致命的な問題点なんだけども、ハイローに関しては「でもアクション面白いから良くないッスか?」ってなるのは単純な作品強度だろうなァ。ドラマに映画3本観たことで脳がハイローに順応してきたとも言う。

超絶オススメ!!

例によって以下、各陣営とキャラクター雑感です。

【S】山王連合会
物語の中心になる主役組織故か、際立った個性が発揮できず、割と埋没しがちだったんだけども今回に限っては「SWORD協定」を冒頭から持ち掛けるなど、中心組織としての貫禄を常に魅せていて満足度が高い。鬼邪高の村山ちゃんとはもう完全な仲良しだし、 ラスカルズのピンチに駆けつける姿は最高にカッコいい。
そして「コブラVSジェシー」は本作のベストバウトに挙げられるだろう。異常な強さを見せつけるジェシーに肉薄するプロレス技の数々も魅力的だが、特筆すべきはやっぱり壁キックで一気に距離を詰めるところ。マイティ野郎のせいで水入りになってしまったものの、コブラやるじゃん!という気持ちが新たになった。ラストにヤクザ相手にも屈せず、善信に蹴りの返答をしたのも熱い展開。
一方ノボルはもう知性派の影ないくらいに肉弾戦もイケてた…いや、巨漢の関口メンディー相手に普通に互角ってどういうことだよ!お前もっと知性使って立ち回れよ!
ただちょっと不安に思うこともあって、それがDTCとの対立軸。SWORDまとめようって時にお前らが分裂しちゃうのかよって困惑があったし、今回DTCが参戦しなかったことで次回への宿題となっちゃったけど、これ上手くまとまるかなァ……

【W】White Rascals
今回の主役組織と言っても良い扱いで、因縁の相手DOUBTとのバリバリの対立軸が物語の根幹を成す。
衣装こそ『時計じかけのオレンジ』なものの、女を守るという信念のために戦い、今回の「SWORD協定」拒否も他の勢力に迷惑は掛けたくない一心だったという辺りに、もうただのイイ人であることは隠せなくなっている。
コブラとの「立ち上がれなくなったら頼れよ」な男のコ的不器用な関係性といい、今回のROCKYはイイ感じに泥くさい。電車での死闘でも、自慢の白衣装を汚し、何度も地に突っ伏しながらも気迫で立ち上がる姿にはスゴ味があり、蘭丸が戦意喪失寸前まで追い詰められた説得力に溢れていた。贅沢を言うとエモノの杖も使って欲しかったけど、これはこれで。
金爆もバンド組むことでなんか破門されたけど、ちゃんと見せ場があったので良かった。というかやっぱり一人ひとりのキャラの立ち方は際立ってるよね、ラスカル。「今日は非番なんですけどね」と軽口を叩きながら戦う優男のKOOとか、オネエのKIZZYとか。

【O】鬼邪高校
村山ちゃんがもうコブラちゃん好き好きオーラを隠そうともしなくなって可愛すぎる……!冒頭の「SWORD協定」の時から「俺だけはコブラちゃんの味方だよ♡」って感じに言い寄ってるので本当に一途なヒロインである。可愛い。
そんな好き好きオーラのまま、日向と喧嘩しに行くのも熱い。喧嘩の顛末は敢えて描かれなかったけど、俺は村山ちゃんが勝利したと信じているよ。
ところで轟たち全日制は今回影も形もなかったが、何をしてたんだろう?次回作で駆けつけるんだろうか。

【R】RUDE BOYS
冒頭からドラマ1期ばりのパルクールアクション見れて大大満足ですよ、僕ァ…
今回、各勢力に新メンバーが加わってるんですが、ルードには佐野岳という運動神経ガチ勢筆頭を加入させるという大正解判断。彼が新規加入したことで、ルードのパルクールがさらに勢いを増したので、SWORD側の新キャラでは突出して良かったですね。
半面スモーキーは窪田くんが売れっ子になりすぎて忙しいという大人の事情で、ずっとボーッと空を眺めているだけでした。というか白髪に加えて目が白濁する病気って何?完全に死の灰浴びたトキじゃん……

【D】達磨一家
いつまでも廃寺にいるのも可哀想だったからか、なんかよくわからない賭場が縄張りになっていた。なんだ、あの空間は。
落ち着いた居住を得ても反骨精神は揺らがず、「SWORD協定」は突っぱねていた。しかし村山ちゃんとの喧嘩を経て、獄友の蘭丸の誘いを蹴り自ら協定を宣言。「SWORDに喧嘩売るってことは達磨に喧嘩売るってことじゃあ~」ってなんか自分が協定を提唱したかのような図々しさが凄まじいけど、まあこれこそ日向だしな!!
戦闘では組体操からの人間を足場に特攻など、お祭り騒ぎを体現していて本当に賑やかで楽しい。

DOUBT
倒されるためだけに生まれてきた戦闘員を多く輩出する悪の組織以上のイメージがなく、幹部の高野たちも典型的悪役モブに毛が生えたくらいの印象しかなかった格の低い組織だったんですが、リーダーの蘭丸が帰ってきたことで悪の組織としての魅力に溢れだした。
所謂、狂犬型カリスマボスで、既存キャラだと日向と被るんだけど(そして実際日向とは獄友でもある)こちらは幻影旅団のクロロみたいなクールヴィランで差別化している。階下の部下にメダルを各自1枚ずつ持たせて「どんな手段でもいいから5枚持って上がってこい」っていう雑なハンター試験みたいな選別は彼のスタンスの象徴。全く傷つかない状態で持ってきたプリズン連中のスゴ味も、傷こそついたものの早い段階で持ってきた高野達の意外な強さも、必要以上にメダルを持ってくるジェシーの無法っぷりも一発で表現できていたので、あのシーンはザム2でも指折りのお気に入り。
黒に赤のファーというキメキメな衣装がROCKYとの対比になっていて、この二人の因縁の対決もやはり熱かった。最後は戦意を喪失させられた挙句、ヤクザにボコボコにされたが、再登場してほしいな。

プリズンギャング
なんか『暁に祈れ』ばりの謎刑務所描写から始まる新勢力。
無名街とは別ベクトルで本当にここは日本なのか…ってくらいに刑務所の海外っぷりがおかしい。いや海外でもそうはねえよ!!
リーダーのジェシーの筋肉タトゥーの強者っぷりもさることながら、実は子供想いな巨漢の関口メンディーや、ナイフ使いの戦闘狂ブラウンなど、ポッと出だからか今まで以上に一目でわかる明快なキャラ付けがスゴイ。ジェシーはマイティと幼馴染だったり、裏があったりで人間関係ややこしそうだけど。

MIGHTY WARRIORS
なんか見覚えのない髪形の奴がマイクパフォーマンスやってるなァー。こっちも新キャラ投入したのかなって思ったらICEだった。
イメチェンしすぎだろ、いい加減にしろよマイティ。
今回登場したプリズンギャングのジェシーはどうやら同郷の幼馴染で、仲間に加わるらしいがその前に奴はDOUBTの傭兵をするらしい。そして九龍の新幹部・劉は別にマイティを裏切ったとかでなく、連絡を取り合うなど今も仲間意識は強いらしい。
組織間構成がややこしくなりすぎだろ、いい加減にしろよマイティ。
そして今回は静観を決め込む様子だったのに、土壇場で横槍を入れて場を乱すだけ乱したら帰って行った。
いい加減にしろよマイティ。

九龍グループ
今回の暗黒円卓会議で九の龍の頭の詳細が全員判明。しっかり大御所達を連れてきているので、悪の組織の格がこれだけでガン上がり。
高嶋兄の謎顔芸や、刺客の源治のターミネーターっぷりも意味はわからないが面白い。しかし、何と言っても圧巻はラストのSWORDとの対峙。
遂にヤバい奴らが動き出してしまったという絶望感と、次回への期待が高まる感じで今回最高に引きを盛り上げてくれた。岸谷五朗も終身名誉真島の兄貴の貫禄である。

ターミネーター源治
ほぼ無言無表情、和装ヤクザ、無限刃装備、キュインキュインという謎BGM、というかターミネーター…となんかもう一人世界観が明らかに違う完成された刺客。
ジャパニーズ・ターミネーター・ヤクザとか正直キャラとして反則なヤツを投入してきやがったな…って印象が強いが、面白いからオールオーケーです。あの高さから落ちてなんで生きてるんだよとか、エモノが無限刃なのはナンデとか、刃を床にあけてチュインチュイン火花上げるのカッコいいけど意味はないよねとか、露骨なまでにターミネーターだなとか全てのツッコミが無粋である。

雨宮兄弟
スピンオフを経てなお前半部分で大活躍な兄弟。
走行中のバイクから車へ飛び乗ったりと意味のわからない大迫力スタントで、レッレでやや不完全燃焼だった部分を完全燃焼させてくれた。
でも、USBを琥珀さんに渡したのは完全に失敗だった。

九十九さん
海外帰りの琥珀さんや雨宮兄弟と会ってたら、いきなりヤクザカーの突撃というトラウマ蒸し返し攻撃を受けた可哀想な九十九さん。
でも、その後にトラウマ払拭とばかりに復帰し(成長しとる…)あまつさえ車を蹴り飛ばして動かしヤクザ数人に突撃返しするパワープレイを慣行。そんなカンフー映画の椅子みたいに車使うヤツいる??
カーチェイスも実行するが、無限刃を突き立てられてりして派手に事故ったことで「俺やっぱり車は駄目だわ」の結論に至る。頑張った…頑張ったよ九十九さん……

琥珀さん
ど…どうしちまったんだよ琥珀さん!!(髪型)
姿は変わっても琥珀さんは今回も大暴れで、非常にパワフルなアクションは楽しかったのですが、ごめん一言言わせて。
お 前 は 何 を し に 海 外 へ 行 っ た ん だ ! ?
USBを持って出国するくらいだから、何か安全な場所でリークするとか、海外にさらなる情報調査をしたとか思うじゃない。なのに髪伸ばすくらいに時間かけたのにリークしないどころか帰国して「やっぱりお前らが公開しろ」ってUSB返却するとかもう本当に今までお前何やってたんだよ!?海外行く暇にそこら辺の漫画喫茶で出来ただろ、その作業!!
多分琥珀さんはUSBの使い方自体をわかってなかったと思うので、雨宮兄弟はやっぱりUSBを託す相手を盛大に間違えていたと言わざるを得ない。
あと「喧嘩は間違ってるが、喧嘩しようと思うアイツらの思いは間違ってない」って自分のこと完全に棚に上げて言っちゃう琥珀さんはやっぱりスゲェよ!!