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エジソンズ・ゲームのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

エジソンは電球を発明したあと、それを世間に普及させようとしていた。彼は送電には低電力だが安全な直流方式を想定していた。一方実業家のウェスティングハウスはより強力で安価な交流式送電を広めようとしていた。これに激怒したエジソンはマスコミを使い「交流は極めて危険」という持論を世間に植え付けようとするのだが......という話。

僕は発明王エジソンや彼と対比する存在としてニコラ テスラのことは伝記で読んで知っていたが、電流事業を広めたウェスティングハウスのことは本作を観るまで詳しく知らなかった。彼は発明家の素養を持ちつつも技術者や経営パートナーと協力してビジネスを成功させる柔軟な事業家としての一面が強く、最初はエジソンとも手を組もうとしていた。対し、エジソンは自分の発明に絶対の自信を持つ傲慢な天才型で、時には他者の優れた発明に嫉妬しそれを卑劣な手段で潰そうとする人物として描かれていた。
そんな両者が電流事業の覇権を争う物語なのだが、中盤までは歴史事実に基づいた起伏のない内容なのでやや退屈。エジソンの妻の死やウェスティングハウスの部下の事故死を経て、エジソンが電気椅子の実験に関わる辺りからビジネス戦要素が強まっていく。シカゴ万博まではお互いの知略をつくした策の応酬で見応えがあった。そして決着がついたあとにお互いが対話を交わすシーンが素晴らしい。争った天才の両者が純粋な発明への情熱を語ることでどこか共感している様子に鳥肌がたった。最後にファーストネームで呼び合うのも良かった。

エジソン役のベネディクト・カンバーバッチはこういう奇矯な天才役が上手い。秘書役のトム ホランドも好演していて、身勝手な性格なエジソンが敗色濃厚になっても彼を裏切らない役柄が印象的だった。

邦題が合ってないかなあ。観終わるとウェスティングハウスの存在感がデカイだけに余計ダサく感じる。
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