Angie

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のAngieのレビュー・感想・評価

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戦うということ

(ダンケルク舞台の映画が続くのは映画史的に何か意味があるのかもしれない) ダンケルク救出のバックストーリでありながら、イギリス流戦うということ、そしてチャーチルの男気溢れる決断にフォーカスした作品。

チャーチルの憎まれつつも愛されるその姿、そして一度はくたばりそうになりながらも、国民にヒントを求め、有名なスピーチをするその過程に涙。

戦うということ。どうせ死ぬなら抵抗して死にたい。戦って死にたい。その美学が時に恐ろしくもなるが、時に美しく伝説となる。チャーチルの決断は幸運にも自体は前向きに進んだわけだが、非常にデンジャラス。でも、おそらくこれは彼自身も戦ったのだろう。彼自身も戦場にはいないが、イギリスと、国王と、自分と戦った。戦うということは屈しないこと。勇気を持ち続けるということ。屈しない勇気。折れそうでも見ないふりをして、勇気を絶やさないということ。時にその戦いは伝説となる。

ゲイリーオールドマンの演技が素晴らしい。(もちろんメイクも) 感情をコントロールできないウィンストンの荒ぶりや熱血なスピーチ、震えるほど緊張しているそぶり、ユーモラス、優しさ、妻の前だけで見せる愛らしさ、すべてリアルだ。でも演技だ。
タイプライター役のリリージェームスの静かな脇役感もちょうどよく、華を添えた。

クリストファーノーランのダンケルクのラストに引用される、チャーチルのスピーチ。今回の作品もこのスピーチでおわった。あの時ダンケルクに取り残され、必死に救出された兵士が読み上げるスピーチ。迷いながらもたどり着いた勇気をこめたチャーチルが発するスピーチ。どちらも内容は一緒なのに、印象が違う。そしてどちらも、もう片方のことを思いながら涙ながらにそのスピーチを聞いてしまうのだ。
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