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勝手にふるえてろのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

恋愛経験の無いOLのヒロインは、中学時代に片想い相手(通称イチ)がいて、卒業後、会わなくなっても忘れられずにいた。ある日、社内飲み会で連絡先を交換した相手(通称ニ)から交際を申し込まれる。人生初の告白に舞い上がるヒロインだったが、自宅のボヤ騒ぎで死を意識したことから、片想い相手のイチと再会する目的で同窓会を開くのだが…という話。
綿矢りさの原作小説は未読。

本作で扱っているところの「こじらせ女子」というものがどこまでリアルなのかはオジサンには理解不能で、中々ヒロインには共感できなかった。
しかし、ヒロインの趣味である「絶滅した動物をウィキペディアで調べる」と、特技の「好きな相手を目の端で見る視野見(造語)」のエピソードに僕はすごく共感してしまって、テンポの良い会話で進むコメディタッチな作風もあり、とても楽しく観ることかできた。
長編映画初主演(オムニバス形式の主演は有)の松岡茉優の振り幅の大きい演技が素晴らしい。コメディ調の前半ではものすごいセリフ量を難なくこなし、カタルシスの起きた後半冒頭におけるミュージカルパートの歌唱力もレベルが高く、終盤においては完全に病んでしまった主人公の繊細かつ暴走気味な心情を見事に演じていた。この役を演じられるほど芸達者な女優さんはそんなにいないのでは?
その他では、片想い相手のイチと、主人公やクラスメイトたちとの認識の違いには共同体の難しさを感じたし、現恋人となるニのお調子者で気持ち悪いが何となくいい奴なキャラクターも良かった。ヒロインの友人の同僚も、普通に考えると友達思いの良い子なんだよねえ。
ヒロインが壊れたり激怒する理由が相当極端で、よくこれまで一般社会で生きて来られたなあと思ったけれど、もうイチを思い続けていた自分というのがヒロインのいわばアイデンティティになってしまってるのだから仕方ないのかもしれない。個人的には趣味も合うのだからヒロインがあのままイチに猛アタック続ければ付き合えたのでは?とも思うけど。

ニが使っていて、ヒロインも真似ていたのだが、作中の飲み会で相手の連絡先を聞き出す手法が割と合理的で参考になった(^^)
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