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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ベトナム戦争が泥沼化していたニクソン政権下のアメリカが舞台。政府が長期に渡って隠蔽していた戦況調査(主にアメリカ軍に勝機なしと判断される内容)の極秘文書の一部を入手したニューヨークタイムズが、一面に掲載する。
亡くなった夫に代わりワシントンポスト社主を務める主人公は、文書隠蔽に関わったとされる国防長官と古い友人だったこともあり、部下の編集主幹から文書の全文を友人経由で入手することと掲載の許可を求められるが、友情を理由に拒絶する。程なくして別ルートでワシントンポスト社は文書を入手する。しかし、先にスクープしたニューヨークタイムズに対し、政府は記事差し止め命令を下し、同様の記事を掲載した新聞社は処罰される可能性があった。主人公は社の命運と報道の意義とを天秤にかけた難しい判断を迫られるのだが…という話。スティーヴン スピルバーグ監督作品。主演はメリル ストリープとトム ハンクス。

スピード感のある硬派な社会派ドラマ。
同じく新聞社のスクープをテーマにいた作品では以前に「スポットライト」を観ているが、そちらに比べると新聞掲載までのリミットが短いためか、取材の経緯よりは登場人物たちの葛藤や記者としての存在価値を問うようなウェットな内容となっていた。事件以外の要素としては、メリル ストリープ演じる穏やかな物腰の女性社主が、未だ男性上位の時代だった新聞業界で慣れない役割に戸惑いながらも、スクープを巡った論争に対し適切な判断を下すところが素晴らしかった。まあ、終盤にいきなり覚醒したような印象も受けたけど。トム ハンクスも最近は善人ではない強気なビジネスマンを演じることが多くて、本作ではかなりキツイ言葉を発する役柄だった。
ベトナム戦争は、日本人にはなかなか身近な問題とは認識しづらいテーマではあるが、実際に長期にわたって戦争を経験したアメリカ人にとって、本作で扱われている文書の隠蔽は許しがたいものなのだろうと感じた。
政府の圧力に屈せず、他の新聞社もワシントンポストに同調して事件を報道する流れは感動的だった。
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