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しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのYACCOのレビュー・感想・評価

4.0
カナダの女性画家モード・ルイスの伝記映画かと思いきや、モードと夫エベレッとの夫婦の物語だった。
身体に障害をもつモードと、心に傷をもつエベレット。自分たちのことを「古い一足の靴下のようね」と例えるモード。その例えは妙にしっくりくるし、なんだろう、とても素敵な響きを持って心に響いてきた。

モード・ルイスは知らなかったけれど、この映画の予告を見て、彼女と彼女の描く絵を知り、この映画を見てみたいと思った。
モードを演じるのはサリー・ホーキンス。監督が「サリーのほかに、モードを演じられる役者は思いつきませんでした。イーサン(エベレット)も同じ」と語るとおり、素晴らしかったと思う。「パディントン」「シェイプ・オブ・ウォーター」と今年に入ってから見た彼女の出演作はどれも素晴らしかったけれど、個人的にはアカデミー賞にノミネートされた「シェイプ・オブ・ウォーター」より今作のほうが素晴らしかったと思う。
エベレット演じるのは、イーサン・ホーク。「6才のボクが、大人になるまで。」の父親役を見て、相変わらずかっこいいなと思ったけれど、今回は不器用で粗野、でも優しい(一見するとわかりにくいけれど)男を演じている。網戸のシーンは見ているこちらもくすりと笑ってしまったし、ラストシーンはしびれるものがあった。

ふたりは幸せだったと思う。
時にぶつかり、言い合い、時に何も言わず寄り添いあう。
「私は愛されていた。」といったようなことをモードが言ったと思う。
彼女の描く絵が愛されるのは、彼女の絵には愛があふれているからなのかもしれない。だから、今もなお、見る人を惹きつけてやまないのだろうと、エンドロールを見ながら思った。
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