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女王陛下のお気に入りの小のレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.5
面白かった。18世紀イングランドの王室を舞台に、女王に仕える2人の女性のバトルも見ごたえがあったけれど、自分としては女王の孤独の痛さが刺さった。演じたオリビア・コールマンのアカデミー賞主演女優賞も納得ですな。

自分のような一般人が知り得ない、国の決定権を握り、しかもその立場を投げ出すわけにはいかない女王の苦悩が、描かれているような気がした。最高権力者であるが故の、決してなくなることのない孤独。そして何より辛いのは、執着を手放すことができないという特殊な立場。

女王やーめた、と言えればどんなに幸せだろう。自我を支えたい国民の欲望を一身に受ける彼女にはそれができない。「自分は女王である」と言えば言うほど気持ちはがんじがらめになっていき、脅かされることのないよう誰も信じなくなっていく。

だから女王にとって嘘つきではないことなんて大した問題ではない。そもそも人の心なんてものに期待していないのかもしれない。むしろ女王を利用しようとする者ならば自分と一蓮托生であると、打算的な人の方がまだマシだと考えるのかもしれない。

悟ろうとすることすら許されないようにみえる女王を観ていると、悟れないと嘆く自分のなんと幸せなことか。女王に仕える2人の女優さんの演技も良かったし、衣装とか演出とかもナカナカで、いつかまた観たい映画。

●物語:4.0
・自分の苦悩に比べたら…、ということが良くわかる。

●他 :5.0
・演技、演出とかとてもよかったのではないかと。
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