河豚川ポンズ

バック・トゥ・ザ・フューチャーの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

5.0
いつ観ても何万回観ても名作な映画。
ここまで皆が口を揃えて面白いって言う映画はそうそうなかなか無いと思う。
金曜ロードショーでの放映に全力で乗っかっていくスタイル。

1985年のある朝、カリフォルニアのヒルバレーに住む高校生のマーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)は、年の離れた親友で、近所の変わり者として有名なエメット・ブラウン博士、通称"ドク"(クリストファー・ロイド)の家を訪れていた。
妙な発明ばかりしているドクは、今夜秘密の実験をするから来てほしいとマーティーに半ば強引に約束させる。
おかげで学校にも遅刻してしまい、夢を追うためのロックバンドも周りから認められない毎日が続いてヤキモキし、恋人のジェニファー(クローディア・ウェルズ)からも心配されていた。
おまけに父親のジョージ(クリスピン・グローヴァー)は上司のビフ・タネン(トーマス・F・ウィルソン)に頭が上がらず、母親のロレイン(リー・トンプソン)は酒浸りの日々。
気落ちするマーティーは、ドクとの約束を思い出し、真夜中のショッピングモールへと向かう。
何やら興奮気味に話すドクが発明したもの、それは乗用車のデロリアンを改造した『タイムマシン』だと言うのだった。


別に何でもない人間がもう今更誉めたてるような必要もない傑作。
なんやかんやタイムマシンでタイムスリップしちゃった主人公が、なんとか元いた未来に帰ろうとするという超王道ストーリー。
だけど、びっくりするくらいにエンターテイメントに徹してて、とにかく面白い言葉以外ない。
自分が初めて観たのは小学生のころだし、映画好きの多くの人も随分昔からテレビ放送とかで事あるごとに観てるんじゃないかなと思うけど、この歳になって観てもやっぱり面白い。
SFでタイムトラベルとなると小難しい話になりがちだけど、そんなのは抜きに楽しめるような話づくりが人気の秘訣なのかも。
だって自分の父親と母親の仲を何とか取り持つって話ですからね。
あれだけ時空連続体がどうのこうのってドクが言ってたのに、ちゃっかり自分たちの未来を都合のいい方向へ持って行っちゃったりしてるけど、もう細かいことは気にしない。
とにかくハッピーエンドならいいでしょうという潔さとエンターテイメントへの徹底がそこにある。
そして何より、ドクとマーティーの小気味良い掛け合いと、シリーズを進むごとに回収されていく散りばめられた伏線は大きな魅力。
ドクとマーティーという少年と老人の友情がシリーズを通してテーマにあり続けるのもとても爽やかで良い。
まあこの1を作った段階では続編の構想は無かったそうだけど、それを違和感なくシリーズに仕立てるのも、監督のロバート・ゼメキスと製作のスティーブン・スピルバーグがいてこそなのだろうか。

最近ネットでドクとマーティーがもしもロバート・ダウニーJrとトム・ホランドだったらって合成の動画をよく見るけど、改めて観るとマイケル・J・フォックスは当時のアイドル的な人気を持つ俳優だったんだなと感じる。
特に「Johnny B. Goode」のかっこいい演奏シーンが用意されてるあたりなんかはね。
実際その合成動画がよく出来てるってのもあったけど、童顔で高い声を聞いてると、そうでなくても案外そもそも似てるなとも思う。
思ってたよりもと言えば、昔は何にも思わなかったけど、ロレイン役のリー・トンプソンがこんなに美人だったんかとは今回観返して気づいたポイント。
自分の母親とはいえ、タイムスリップして目の前にあんな美人がいたらそりゃ狼狽えもするわ。
ジョージやビフといった尖ったキャラクターを演じたクリスピン・グローバーとトーマス・F・ウィルソンもすごい俳優。
特にビフなんかはシリーズを通してドクとマーティーの前に立ちはだかる悪役ながら、そのユーモラスさもあってこのシリーズに欠かせない存在であることは間違いない。
仮にこの先リメイクが作られるようなことが万に一つあったとしても、それはもう完全な別物としてしか受け入れられないと思う。

子供も大人も、観た人みんなが夢を感じられる、そんな素敵でいい映画。