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真っ赤な星のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

真っ赤な星(2017年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

14歳のヒロインは入院中に親切に接してくれた看護師・弥生に憧れ以上の感情を抱いていたが、その彼女はヒロインの退院前日に退職してしまう。1年後、夜間に買い物に出たヒロインは、道に停めた車中で男に身体を売る弥生を見かける。学校には馴染めず不登校で家にも居場所のないヒロインは、ある出来事をきっかけに弥生のアパートに転がり込むことになるのだが…という話。あらすじがとても僕好みだったのでレイトショーで鑑賞。

説明が少なく、状況や少ないセリフの対話から登場人物たちの境遇や感情を推測させる。いわゆる「余白の多い」と表現されるタイプの映画。生々しい描写も目立ったので勝手に年配の男性監督が手がけているのかと思っていたら、20代の女性監督の作品と知ってびっくり。
美しい映像表現でじっくり見せる手法は好きなのだが、本作は若干余白が多すぎるように感じた。僕が男性なこともあるのだが、ヒロインたちに共感するために最低限必要な情報や謎が出揃うまでがあまりに長いので、ずっと戸惑いながら観ていた印象だった。入院中のヒロインたちが心通わせるエピソードをもう少し入れた方が良かったかも。
ただ、登場人物たちの関係性が把握できた中盤以降は、孤独で行き場のない主人公2人が惹かれ合って傷ついて行く様を上手く表現していた。かなり重めの同性愛を描いていて観る人を選びそうではあるが。主演の小松未来は本作で初めて見たのだが、ヒロインと実年齢が近いらしくまさに等身大な演技に引き込まれた。重くて過激な役柄だけど。相手役の桜井ユキも悲しい身の上の女性を好演していた。
全体的に良さが伝わりきれていない作品だと感じたが、監督は邦画のエンタメ志向に染まらずにこのスタイルを貫いて欲しい。
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