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隠された時間のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

隠された時間(2016年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

離島に転校しきた少女は、神秘的なことやオカルトに興味を持っており、同じ趣味を持つ少年と仲良くなる。ある日少女と少年を含めた4人で島の山頂にある洞窟探検に出かけ、ふとしたことからメンバーとはぐれた少女を除き3人が行方不明となり、1人が遺体で発見される。数日後、山頂を訪れた少女は見知らぬ青年に声をかけられる。彼は自分が行方不明なった少年で、時が止まった空間に閉じ込められて十数年を過ごして戻って来たと主張する。少女だけは彼を友人だと確信するのだが、周囲の誰にも信用されず…という話。韓国産のファンタジー作品。

ひと夏のノスタルジー感溢れる少年少女の物悲しい映画。2人の初恋物語の美しさと、超常的な現象を誰にも理解されない苦しみを切々と描いていた。時が止まった世界の生物や物質が完全に静止してしまう描写がなかなかユニークだった。
序盤は小学校で打ち解けられない転校生のヒロインの孤独が淡々と映し出され、やがてオカルト趣味を通して少年と仲良くなっていく過程が語られる。その後、時が止まった世界に幽閉された少年たちの生活が描かれ、成長した青年が現世に戻って来たところでようやく本題に入る感じ。ここまでが長いのだが、少年と少女の切ないお話を盛り上げるためには必要な前振りではある。
少年と少女が、彼らだけが理解できる絵文字を使った交換日記をつけていて、少年が異界での十数年の出来事を絵文字で記録していたことから、少女だけが成長した青年の正体を信じることができるというアイデアは上手くて分かり合えた2人が抱き合うシーンは泣ける。また、自分たち以外の他者と関わらないまま大人になっている青年の未成熟でコミュニケーション能力に乏しい姿は妙にリアルだった。あと、同じく時の静止した世界に囚われた喘息持ちの少年が、薬が切れたあと病状が悪化してやがて死亡してしまう展開は呆然としてしまった。
良いお話なのだが、全体的に長尺すぎて構成もあまり整理されていない印象。少年は少女との2人の生活を望んでいたのに対し、少女は少年の立場を周りの大人に理解してもらおうと奔走するのだが、やり方があまり上手くないため、観ている方は少しイライラしてしまった。結末の落とし所はまとまっているのだけに、ストーリーがゴチャゴチャしているのは残念。
強面の刑事役の人が知人にそっくり(^^)
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