【ドキュメンタリーのススメ】
すばらしき映画音楽たち (2016)
◆ドキュメンタリーの種類
証言に基づく「解説型」
◆描かれるトピックス
映画の中で音楽が果たす役割
〈本作の粗筋〉
・ハリウッド映画の主題歌やメインテーマは、どのようにして生まれるのか。映像からイメージされた旋律が、オーケストラの演奏などを通じて映画音楽になる過程を取材。
・ピアノのシンプルなメロディーが『E.T.』のテーマ曲へと変わっていく様子や、『ライオン・キング』でオスカーを受賞し、数多くの大作に携わってきたハンス・ジマーの苦悩など、知られざる映画音楽の裏側を明らかにする。
〈見処〉
①名作に名曲あり。アカデミー賞合計38冠に輝く作曲家たちの伝説——
・『すばらしき映画音楽たち』(原題: Score: A Film Music Documentary)は、2016年に製作されたドキュメンタリー映画。
・本作は、ジョン・ウィリアムズ、ハンス・ジマー、ダニー・エルフマンら、ハリウッドを代表する約40人の作曲家たちのインタビューや資料映像により、名曲の創作秘話が明かされる。
・また、ジェームズ・キャメロン、スティーヴン・スピルバーグなど作曲家以外の映画関係者や心理学者なども登場し、製作の舞台裏や科学的効果についても語られている。
②本作で語られる主な映画音楽作曲家
◆ビル・コンティ
『ロッキー』
◆マックス・スタイナー
『キング・コング』
◆ハワード・ショア
『ロード・オブ・ザ・リング』
◆モンティ・ノーマン
『007 ドクター・ノオ』
◆バーナード・ハーマン
『サイコ』『めまい』
◆エンニオ・モリコーネ
『新・夕陽のガンマン』
◆ジョン・シール
『マッドマック 怒りのデス・ロード』
◆トレヴァー・ラビン
『タイタンズを忘れない』
◆ジェリー・ゴールドスミス
『猿の惑星』『チャイナタウン』
◆ジョン・ウィリアムズ
『ジョーズ』・『未知との遭遇』『スター・ウォーズ/新たなる希望』『スーパーマン』『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』『E.T.』『シンドラーのリスト』『ジュラシック・パーク』『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』
◆ジョー・クレイマー
『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』
◆ダニー・エルフマン
『ピーウィーの大冒険』『シザーハンズ』『バットマン』
◆トーマス・ニューマン
『ショーシャンクの空に』『アメリカン・ビューティー』『ファインディング・ニモ』
◆ハンス・ジマー『グラディエーター』
『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』『ダークナイト』『インセプション』
◆トレント・レズナー
『ソーシャル・ネットワーク』
◆ブライアン・タイラー『ワイルド・スピード SKY MISSION』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
◆ジェームズ・ホーナー『ブレイブハート』『タイタニック』
③結び…本作の見処は?
◎: 「映画にて、鳥肌を生むのは音楽の力」…実体のない唯一の芸術「音楽」が映画に与えた影響を振り返る、映画ファン必見の作品。名作映画の名シーンが挿入された本作は、映画史のダイジェストとしての価値がある。
◎: 映画音楽の目的として挙げられる「効果音として観客を引き込む」…代表作は『サイコ』や『ジョーズ』。また「作品のモチーフを印象付ける」…代表作は、同じ曲をアレンジを変え、鑑賞者の耳に刷り込む『ロード・オブ・ザ・リング』など、至極納得の解説が素晴らしい。
◎: とくに作中で、印象的であった作曲家は、ビートルズと並ぶ20世紀最大の作曲家ジョン・ウィリアムズと、「パイレーツ・オブ・カリビアンはオーケストラのレッドツェッペリン」と紹介されていた、ハンス・ジマーの業績に目に見張るものがある。
◎: 『タイタニック』を例にジェームズ・キャメロンが語る「ほとんどの映画監督は、感情を音楽に変換ず、作曲家は監督の言葉から意図をつかむ必要がある」…キャメロンとジェームズ・ホーナー、スピルバーグとジョン・ウィリアムズの対等な関係は興味深い。