すがり

ハッピー・デス・デイのすがりのネタバレレビュー・内容・結末

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

人ってのは単純なもんです。
ついさっきまで好きでも何でもなかった相手を前にして、ほんのちょっとしたきっかけで一気に距離が縮むこともある。
私はそういうのが苦手で、心掛けとして距離を取るよう努めながら生きてるつもりです。

でも映画だ、これ映画なんだ。
最初は苦手な相手だったのに、死ぬ度にどんどんツリーが気になって行く……助けてくれ……。
決して裸体があったからとかいう俗な理由じゃないんだ。
繰り返される毎朝の父からの電話。
母親の死。
誕生日と、誕生日と命日。
終盤での父との和解。
ホラーの気構えを強いておいて人の弱点を的確に突くのはやめてほしい。
続く殺人鬼との対決が残っていなければ父娘の会話で号泣していたに違いない。

ツリーも母親が生きてる間や、今も生きていたのならもしかしてただの遊び人にはなっていなかったかもしれない。
こんな気持ちはあちらの術中に嵌っているからだろうか……おかげで途中からツリーが可愛くてしかたない。
人の心を弄びやがって酷い映画ですよ。

そして一日を繰り返すツリーと、ツリーに対する感情で葛藤しているこちらの心の隙間を確実に埋めてくるカーターとかいう優男。
親しみやすいうえに声までイケメン。
危険を顧みずやる時はやる男。
ループの話にもちゃんと適応するし良い人かよ…。
いくらなんでも惚れたね。

ループも特に説明なかったけど自分の誕生日と母親の誕生日、命日だし、生と死の云々かんぬんが混ざり合って、そんな日に死ぬなんてとんでもないという母親の愛がどうたらこうたらで。

そういうわけですね。
J.K.ローリングも母の愛が最強って言ってましたからそういうことなんです。
(2Uも観に行きました。おのれ2U。)

それにしても生活の乱れが母親の死をきっかけにしているとしたらとても悲しい話ですよ。
ロリの動機がそこにあるんだから。
心を入れ替えたあの日、ロリに謝ったあの日。
先に気付いておけば或いはその次の朝を回避出来たんじゃないかとも思うわけです。
さすがに甘いだろうか。
ロリにもカーターみたいなやつが居れば良かったのにね。
もうほんとにカーター、彼が今作のMVPです。
すがり

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