キアロスタミ監督の作品は
わたしの干からびた心に水を与えてくれる。
勢いのあるホースの放水ではなく
チョロチョロと滴るじょうろのように。
バゲリさんの言葉は、落ち込んだ人には
優しく切なく、とてつもなく沁みてくる。
だけど本気で死にたい人には、なんちゃぁ響かないだろう。
バディは結局、死ぬつもりなどなかったのだと思う。
最後の演出には、様々な意見があるようだけど
「はい、これは映画ですよ」と言われたようで
妙にほっとした自分がいた。
劇中の荒れた山と、緑あふれる山との対比も素晴らしい。
個人的すぎる余談だけども。
桑茶を飲みながら今作を見ていたらば、
まさか桑の実が物語のキーポイントになるとは…。
この偶然に胸が熱くなり、しみじみと茶をすすった。