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ブリグズビー・ベアのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

赤ん坊の頃に誘拐された主人公は誘拐犯を父母と信じ25年間隔離されたシェルターで生きていた。彼の唯一の楽しみは毎週ビデオカセットで送られてくる子ども向けヒーロー番組の「ブリグズビーベア」を観ることだった。そんなある日、警察がシェルターを発見し、誘拐犯は逮捕され、主人公は外の世界の実の両親のもとに帰される。現実社会の大きさに戸惑う主人公は、ただブリグズビーベアを見たいと願うのだが、なんとブリグズビーベアは誘拐犯が自主制作していたもので、主人公だけに見せていた作品だった。誘拐犯が逮捕された今となっては作品の続きを見ることはかなわないと知った主人公は、自らブリグズビーベアの完結編を撮ろうするのだが…という話。

映像づくりのワクワク感が全編にあふれている作品。自分でもよく分からないのだが、観終わったあとは涙が止まらなくなる予想外の大傑作。

社会から隔離されて育ったというあらすじからは映画「ルーム」をコメディタッチにした作品かなあという印象だったが、クスリと笑えるエピソードは多いものの、どちらかというとド直球な青春映画だった。

社会の常識からは隔絶されて育った主人公は、当初は家族や周囲の人間たちとも打ち解けられない。漠然とした毎日を過ごす主人公だったが、ブリグズビーベアに共感してくれた友人との出会いによって、彼らは映画製作を志すことに。仲間とワイワイしながら撮影を続ける主人公の姿は活き活きとしていて観ている側も楽しくなってくる。しかし、主人公の本当の両親にとってブリグズビーベアは憎むべき誘拐犯の産物であり、それに夢中になっている息子の将来を心配になる気持ちは痛いほど伝わってきた。中盤の撮影のトラブルにより主人公は施設送りになってしまうのだが、その間彼のブリグズビーベアへの情熱が仲間を動かし、頑なな家族の心を氷解させていく流れは本当に感動的だった。警官や誘拐犯をも巻き込んで完成させたブリグズビーベア完結編を上映したあとに、観客に拍手で迎えられる主人公の笑顔がとてもさわやかだった。
誘拐犯役でスターウォーズでおなじみのマークハミルが好演していた。誘拐犯夫妻が悪人ではなく子どもを愛しむ教育熱心な人物として描かれているのも良かった。
中盤に主人公が、かつてブリグズビーベアのヒロイン役として出ていた女の子に会いに行くのだが、その二人の対話シーンがとてもしみじみとさせられた。最後にそのヒロインの子もブリグズビーベア完結編に出演していてまた泣いてしまった。
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