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模倣霊のhorahukiのレビュー・感想・評価

模倣霊(2017年製作の映画)
3.2
モノマネが超うまい幼女がお家にやってきた!!
どこの子かわかんないその子に主人公のおばちゃんがメロメロになっちゃってさあ大変!な心霊ホラー。

カリコレ2018公開作です。
シネマートで一週間限定でやってたので、見てきました!多くの方が指摘されてる通り『哭声』と構成パーツが似ていて、間違いなく意識してるのだろうと思います。ただ、残念ながらタイトル通り上辺だけの模倣になっちゃってるんですがね(笑)

あらすじ…
認知症の姑の療養のため、人里離れた一軒家に越してきた主人公と夫、娘&姑の4人。5年前に行方不明になった息子と最後に一緒に居たのが姑だったため、姑の記憶が戻ることを期待してる主人公だが、息子に執着しすぎて精神を病んでる。一方の夫は諦め気味。ある日、山奥の洞窟近くで一人でいる少女を見かけ、しばらく家で預かることに。少女はなにも話さなかったが、徐々に家族の言葉を真似し始める。少女はいったい…。

行方不明の息子を諦めきれず、精神的に弱り切っている主人公が、幽霊に入り込まれて惑わされるって感じのお話。この主人公の行動がマジでイライラして仕方なかった。夫が諭しても全く聞く耳を持たず、側にいる娘や夫よりも、居なくなって5年も経つ息子を重視するなんて頭おかしい。あと行方不明の子はすぐに警察に連れて行けよ。娘ちゃんがマジで可愛くて天使だし、山奥にいた少女も可愛いし、夫も良い人だから尚更主人公がクソに見えてくる。

本作は心霊系ホラーなわけだけど、肝心の恐怖演出が下手くそなんですよねー。主人公の家の近くに封鎖された洞窟があって、そこが重要な心霊スポットになるわけなのですが、異様さがあまり伝わってこない。

森の中を歩いていると木々に囲まれた中に突然現れる洞窟。真っ暗な闇が口を開けて佇んでいるその外観は、あの世へと続いていそうな気さえする素晴らしいスポットにも関わらずイマイチ活かしきれてない。洞窟の闇を此方側から覗き込むということは、彼方側からも覗かれているということ。そういったことを意識させる映像はあったのに、製作陣が深く考えてないのか、肝心の山場でそれを全く活かさない凡庸なジャンプスケアで終わってしまうのが疑問。そこから後半まではほとんど出番ないし。勿体無い…。

その後は鏡を多用。それ自体は良いのですが、多用する割にはやってることはほぼ変わらないため、反復による爆発力の増加を全く活かせてない。

本作は『模倣霊』というタイトル通り、幽霊がこちらの言葉・声色を真似するんです。それにより幽霊が生者を惑わして弱い心につけ入って来る。そんで、象徴的なアイテムも出てくる。それは、人が話したことをそのまま真似して発声する幼児用の教育アプリ。本作の幽霊と極めて近い性質のアイテムなのに、それを全く活かさないのが疑問。認知症のお婆ちゃんももっと使いようがあったんちゃうかな。恐怖演出的にも物語的にも。途中からほとんどほったらかしだし。あとせっかく幼女同士名前一緒なんだから、本物の居場所を奪っていく的な活かし方も出来たはずなのに勿体ない。

ただ、後半はなかなか良かった。心霊系ホラーだった前半に対して、後半は洞窟内でのモンスターホラーへと変貌する。敵の外見が気持ち悪くて最高(『哭声』の國村隼さんみたいな)だし、その気持ち悪い外見で幼児の声色で言葉を発するのが嫌悪感を際立出せて非常に良い。この監督はこっち路線の方がうまそうですね。最初っからこっちでやれば良かったのに。『ディセント』みたいな感じで。
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