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ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男の小のレビュー・感想・評価

4.0
2018年の全米オープンテニスで優勝した大坂なおみ選手が4回戦の勝因を聞かれ答えた一言。

「我慢」。

これこそトップで競う選手が王座をつかむために必要な最後のピースではないのかな。本作を観るとそんな気がしてならない。

ビヨン・ボルグとジョン・マッケンローといえば、自分が少年時代のスターテニスプレイヤー。イケメン、冷静沈着、両手打ちのバックハンドでストローク戦にめっぽう強い王者ボルグに対し、納得いかない判定への怒りをあらわに、サービス・アンド・ボレーの攻撃的なプレイスタイルで“悪童”と呼ばれたマッケンロー。

歴史に刻まれる名勝負となった、1980年のボルグ5連覇がかかったウインブルドン決勝をゴールに、2人の知られざる姿を描いていく。

何故ボルグが王者になれたのか、何故マッケンローが一時代を築けたのか。それは「我慢」だと個人的には断言しても良いくらい。2人とも勝負に対して人一倍熱い気持ちを持っている。それ故、思うようにいかないとき、怒りや苛立ちといった負の感情も人一倍強く湧き上がってくる。

そんなとき、どうするのかといえば我慢する。しかし、負の感情を消し去るのではない。怒りでエネルギーを浪費することなく蓄えて、1球1球に集中し、放出する。これを続けられる人が王者となる。

ルーティンに神経質なまでに固執することで冷静沈着さを保っているボルグ。そのボルグと戦うことで、王者に必要な「我慢」を学び、大きく成長していくマッケンロー。いつしか2人の間には死力を尽くして戦ったトップ選手にしかわからない何かが生まれる。

「我慢」はテニスの勝負だけではなく、何かを成し遂げようと思ったら、必要なことかもしれない。荒ぶる感情を抑え、ためたエネルギーを効果的に発揮することに集中する。そんな風に自分をコントロールできたら、もっと仕事ができる男になれたに違いない。

ウインブルドンを戦ったボルグもマッケンローも、そして大坂なおみ選手も20代前半…。ああ、もっと早く気づけたらなあ。「我慢」以前に必要な「能力」がなかったという真実はさておき。

●物語(50%×4.0):2.00
・能力のある人、あと必要なのは我慢だけ、ということが良くわかる。自分の場合はまず能力を、って、いったい、いつになったら…。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・ボルグ、カッコイイっす。マッケンローも。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・テニスの試合、結構入り込めた。
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