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切り裂き魔ゴーレムのRのレビュー・感想・評価

切り裂き魔ゴーレム(2016年製作の映画)
3.7
The Limehouse Golemというタイトルを初めて何かで見かけた時からなぜかとても気になってたので見てみました。映画におけるゴシックな雰囲気が好きな人は一見の価値ありやと思われる。1880年ロンドン。リジーという若奥さんが夫ジョンのベッドルームのドアを開けると、ジョンが毒殺されてるのを発見。意地悪そうな使用人の不利な証言によってリジーに容疑がかかり、拘束されて裁判沙汰になる。一方、ロンドンでは謎の切り裂き魔ゴーレムによる連続殺人事件が起こっており、その解決に充てられたゲイ疑惑のある警部補キルデアは、容疑者の一人に前述の毒殺されたジョンを含まなければならない証拠を発見。てことで、彼は裁判を傍聴し、リジーに直接話を聞きながら、捜査を進めていくことに。リジーは自らの不幸な出自と、下品な舞台での喜劇役者としての成功、そして旦那との出会いをキルデアに語っていき、そのなかで、連続殺人の犯人はジョンに違いないと確信を深めていくのだが…という流れのミステリーで、なかなか話が複雑な上、結構なスピードで進んでいくので、かなり集中して見とかないと話の流れを見失いそうになる。人物も多いし、なるべく早めに名前と顔とキャラを一致させておく必要あり。それがちょい大変やったけど、一度覚えると、ぐんぐん展開に引っ張られて、一体ゴーレムは誰なんや?って考えながら楽しく見れる。DVDソフトの画像と音声があんま良くなかったのが大変な残念ポイントで、Blu-rayならばきっともっと陰影の深い映像を愉しめたろうに、と思わせる素晴らしいヴィクトリアンセット、照明、カメラワーク。YouTubeで予告編見たらちょーキレイ! 残念! ジョンの他にも何人かいる容疑が、順番に連続殺人シーンのフラッシュバックを演じてて、ミスリードを引き起こすための演出で面白いとは思うんやけど、ちょっとやり過ぎ?かなー笑 全体的に、派手過ぎるか過ぎないかスレスレの演出が多いので、アウトな人にはおもくそアウトでしょう。演技も舞台劇ぽい趣があるし。事件の核心に迫る後半は、女という存在が宿命的・社会的に持っている様々な問題を浮き彫りにしていき、現代的なジェンダー問題を盛り込んだ流れになるのだが、全体の演出も相まって、頑張って作り込んでる感が強く、これも好みが分かれるとこでしょう。その割に最後のタイムリミットサスペンスはそれほどスリリングでないという笑 モリモリよりも微妙な演出の方が好みの私からすると、すべてがもう3割減くらいだったらよかったのになーってところ。…と、気になるとこばっか書きましたが、それが逆に本作の良さでもあり、魅力的なシーンもたくさんあるので、好きな人は好きやろし、全体的にはなかなか楽しめましたよ。
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