自由

レストランを経営する男のもとに、別れた妻と違う男との間に生まれた娘が訪ねてくる
娘の境遇に同情した男は、彼女を引き取り養うことに
しかしそんな娘は、ある恐ろしい計画をもっていた……

性悪女

レストランについて

ドラマ要素
いろんな皮肉が

関係性も見どころ

ワンちゃん〜

【望郷】のジュリアン・デュヴィヴィエ監督による、
【フレンチ・ノワール】。

冒頭、中央市場脇に位置するシャトラン（ジャン・ギャバン）のレストランに近づくハタチの可愛いカトリーヌ（ダニエル・ドロルム）を捉えた俯瞰ショットが印象的。

カトリーヌは、シャトランの元妻の娘で、母は亡くなったと告げる…。

シャトランはカトリーヌを優しく向かい入れ、息子みたいな親友でハタチの医学生ジェラルド（ジェラール・ブラン）を紹介すると、たちまち彼女に惹かれる、、

結果論でサスペンスなのだが、ヒューマンドラマ⁈ラヴ・ストーリー⁈という趣で、序盤にジャンルの提示が無い。

40分位はカトリーヌの【目的が不透明】で集中力が削がれた（ここを短縮してテンポ欲しかった）。
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以降は、エンジンが掛かり（企みが分かり）面白くなってくる。

カトリーヌは、ジェラルドと親しくし、且つシャトランを誘惑し、◯◯まで仕向けてしまう。

見事、◯◯するも目的達成の為にジェラルドを利用する悪女っぷり、愛してる、、言葉巧みにそれぞれ2人を【手玉】に取る。

清楚な可愛い顔（ジャケ写山椒魚）して、やる事は、、正に【小悪魔】だ。

姿を消したり戻ったりと、駆け引きも上手。

映画史上トップクラスの 胸糞ファム・ファタール小娘認定‼︎

躊躇わず偽装殺人を犯しての【泣き笑い】が怖い。

最初はカトリーヌに甘々だったシャトランも彼女の正体がバレると冷たく突き離す、、
やはり 貫禄ジャン・ギャバン は流石だ‼︎

撮影は、長回し主体で芝居を見せてくれる。

本作の伏線は、意外な ヤツ（名演）で、、
↓
意外、異色とも言える呆気ない結末を迎える、、
OPと共通テーマ曲がEDでは切な過ぎるメロディとして余韻を残す。

• #Kマイコレ

序盤こそドラマそっちのけで主人公の生活圏であるパリの生活をこれでもかというくらいゆったりと描いているので飽きて気持ちが緩むものの、レストランを経営するギャバンの元を訪ねてきた娘の本性が露になってきてからどんどんドラマの面白さが加速してきた。『スカーレット・ストリート』のジョーン・ベネットに匹敵すると言っても過言ではない男に媚を売る演技が堂に入ったダニエル・ドロルムのリアルな悪女っぷりも映画に説得力をもたらしていた、あの媚びようはギャバンならずとも世の中の９割の男性は騙されるはず。

後半そんな彼女の思惑が予想外の出来事によりどんどん崩壊して、毒親に振り回され男たちに軽蔑されながらも何とか自分の夢を叶えようと必死になるファム・ファタールになれなかった憐れなヒロインが印象に残る。そんな彼女が迎える悲惨であるが因果応報といえる結末(毒親がそこにいるというのも皮肉)をクールに締めくくるラストもなかなか。

でもこの映画の一番インパクトを残したのはギャバンでもドロルムでもなく、まさかの○○。彼(彼女？)の熱演ぶりは演技賞もので、後半は主役と化しておりラストも決めてくれる。

フランス映画において同時代に活躍したルノワールに比べると再評価されないデュヴィヴィエ監督ではあるが(石井輝男監督は彼のファンだったらしい)、本作のサスペンスの盛り上げ方など演出は見事でそれなりに達者であった。ただ語り口が良く言えば悠然、悪く言えばスロースターターなのでそれが現代人に評価されない原因なのかも。