フランソワーズ・ロゼーに敵うこの役は無いと思った。
どこか哀しげで情熱的だ。
監督とのタッグ作品は皆特にそう。
素晴らしいラストシーン。

女の為に会社の金を散財してしまったピエールはパリから追放され恋人からも捨てられ外人部隊に入る。ある日その恋人とそっくりな女と出会う。

印象的なシーン
・車ぶっ飛ばし 危ない
・ヨットをねだる女
・横領がぱれる 叔父から呼び出し
・ある町へ隊列が 子供カメラに気付く
・酒場や売春宿大にぎわい
・女将ブランシュの占い
・フローランス？瓜二つの女イルマ
・蝿取り紙交換のイルマの太もも
・クレマンとピエールの争い
・ブランシュの後始末
・ニコラの塹壕戦志願とその死
・遺産相続と除隊と帰国手続き
・フローランスとの再会
・イルマを船に乗せる
・♠️の9とピエールの出発

フローランスに贅沢させる為に会社の金に手をつけ、外人部隊に入らざるを得なかったピエールが酒場でイルマに出会う場面が心に残りました。

見た目は同じだけど口を開くと幻滅する為、喋るなと言って食い入るように見つめるピエール。イルマからすると当惑しますよね。
情緒不安定になってしまい、この女が本当はフローランスではないのかと消えかかった記憶を無理やり聞き出そうとしたりひどい扱いをしたりする反面、女を逃したくないと優しくしたり、まー困ったちゃんですよ。

せめて酒場はやめさせたいと宿屋で働く事になったはいいけどクレマンの毒牙が…！女将のブランシュは使用人に手を付けるクレマンの事はもう何とも思ってないんですね。旦那が悪い事も分かってる強い女です。

クレマンが死んでるのが分かっても落ち着いてます。私に任せてと言って完璧に始末します。

ピエールはフローランスとやり直したいけど無理だと分かると、部隊に戻るんですね。何故イルマを1人にするんでしょうか？男心は分からないですね。それも、ブランシュに警告されたのに…。

ピエール役の人はよく見たら｢舞踏会の手帖｣の山岳ガイドの人でした。おぉ。

フローランスとイルマの二役のマリー・ベルがまるで別人のようで素晴らしい演技でした。それに輪をかけてブランシュ役のフランソワーズ・ロゼーの存在感！好きだなー。(監督の奥様らしい)

今調べたらイルマのマリー・ベルには違う人の声を当てていたそうです。面白い試みでした。

好きになった女のために身を崩してパリを追い出され、外人部隊の一員になった青年がそっくりの女性と出会ったことで沸き上がる複雑な愛情によるドラマは結構よく出来ていたし、舞台となるモロッコの現地の空気感を再現したセットもよく出来ていて見ごたえ十分の佳作に。

ただ前半はそんなパリッ子が主人公だったのに、後半いつの間にか彼を案じる酒場兼ホテルのマダムがメインになり、いつの間にか彼女が主人公になってしまうラストにびっくり。いくら監督の当時の奥さんだからってそりゃないよ…。そんなマダムを演じるフランソワーズ・ロゼーの妖艶な演技は良かったけれど。

あと元カノと今カノとの間で悩んだ末に選んだ青年の選択はあれでベストだったのだろうか。