平野レミゼラブル

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームの平野レミゼラブルのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

金魚鉢を被ったジェイク・ギレンホールを信用してしまう人、どうかしている!!

というわけで、金魚鉢を被ったギレンホールが出てくる時点で、面白いに決まっているMCUでのスパイディの続編である。金魚鉢を被ったギレンホール見たさと、試しに観てみたホームカミングが滅茶苦茶好みの作風だったので、EGとかもろもろを一気にスッ飛ばして観てきたんですけどやっぱり楽しかった!
 EGのネタバレがガッツリ絡む作風だけど、こちとら映画館で観た予告の時点で誰が死んだか察せられたんじゃい!!むしろEGの流れに乗り遅れた時点で、正攻の映画体験は不可能なんだから俺はMCUはガッツリケツから観させて頂く所存。

というわけで、世界から人類の半分が消えて5年後に戻ってくるというやたら壮大な事件があったらしいけど(観てない)こちらは変わらず恋に修学旅行にと学園青春コメディのノリを崩さないところに安心感がある。
軽妙に挟まれる小ネタにフフフと笑わされたり、ネッドに彼女が出来たのが微笑ましかったり(彼女に構いながらもしっかりピーターのサポートしてくれる辺りに彼の善性が光る)、MJとの甘酸っぱい恋は素直に応援したくなる初々しさだ。
それだけにニック・フューリーに夏休みを支配されているピーターは割と可哀想なんだけど、そこもコメディ調になってるのでそこまで気にはならない(連続麻酔銃は笑った)。
でも最後の最後にコイツも夏休み満喫してたのは最低すぎた。お…お前…!

そして今回最大のお目当てだったミステリオ、ジェイク・ギレンホールの配役の時点で意味深な言葉を時折呟くCV櫻井孝宏か石田彰のキャラくらいの信用度しかなかったけど案の定じゃねえか!!
正直、小物悪党の類ではあるんだけど、トニーへの当てつけと自己顕示欲というみみっちい動機から大虐殺を起こそうとする底知れぬ悪意を持つ歪さ、ピーターから眼鏡を奪った時にチームと喜びを分かち合う妙な人間性、そして大迫力で現代的な3DCGとドローンを用いた攻撃の面白さから凄く好きなヴィランです。
指パッチンで人類の半分を消滅させる規模だったらしいEG(観てない)からすると、バルチャーおじさんと同じく自分に出来る技術だけで対抗して本体は一般人スペックという超ミクロな敵。だけど、映像技術だけでスパイディを徹底的に追い詰めるサマは最もミクロで邪悪な敵と言えよう。新幹線に轢かせるまでの映像攻撃が特にエグいんだよね。映像表現としても、底知れぬ悪意の演出としても優れていて見応えに溢れていた。
ヒーロー時(偽)の金魚鉢マント衣装(正)をダサイと言い切って、大虐殺を指示するヴィラン時(正)の衣装がモーションキャプチャー(偽)なのもまた凄い。ヒーロー映画の舞台裏をも本作のテーマである『嘘』に組み込んでいるある種のメタ構造。単純な映像効果自体も面白かったのに、こういうとこまでスマートに意味を持たせられると物語自体の深みが増す。
あとピーターの存在を暴露する最悪の最後っ屁は、前回親愛なる隣人を親愛なる隣人のままにしてくれたバルチャーの義理堅さの対極の最悪さで、心から「ギレンホールこの野郎…!!」となった。というかこのニュースのハゲ、『セッション』のハゲじゃねェか!!ということはコイツが噂に聞くヴィランより厄介なJJJかよ!!ギレンホールとハゲ、史上最悪のコンビすぎる……
流石にナイトクローラーの時の見るからなヤバさまでは行かなかったけど(仮にもこっちはヒーローとして偽ってるわけだし)望み通りのギレンホールが堪能できて満足よ。

というわけで当初の目的であった金魚鉢を被ったギレンホール成分自体は結構な量摂取できたのだけども、ピーター少年の成長譚としてはこれまでの積み重ねを丸っきり飛ばして観た弊害が出てしまった。いや、この映画単体で観てもピーターの恋愛成就の流れとかがあるので十分満足は行くんだけど、ジェット機でのスーツ構築シーンとかに感じるハズの感慨は得られてないからね。
というわけで本作は長い長いMCUの道のりを歩んだらまた観ようと思います。トニーおじさんの喪失と継承については、全部通して観た方が感慨深いだろうし。でも、出前感覚で大量殺戮可能なクソテロ眼鏡を高校生に託すトニーおじさん本当にどうかしてるって感覚は通しで観ても変わらない気がするんだ……

通しでの評価は保留だけども、単体としてはオススメ!!
さあまずは『アイアンマン』からだ……!