<学園ホラー 怪怪怪怪作!>
奇怪度MAX 血も凍るキッチュな台湾ホラーと話題を読んだ、トロマ映画みたいなタイトル作品。
一見、『グエムル -漢江の怪物-』の様な一風変わったモンスターホラーか?と思いきや冒頭20分かけて、台湾高校ののび太とジャイアンの関係性を描き出す。ところがこのジャイアンチームが時計じかけのオレンジのアレックスレベルに慈悲のカケラもない鬼畜な非人道ライフに明け暮れる。
教師や他の生徒達はスネ夫と化し、建前上のアドバイスでしか口出しできない。そんなこんなな学校生活の様子をじっくり描いていく。
なるほど、これは学校社会をディストピアのように"閉ざされた無法地帯"で紡ごうとする物語のようだ。
学園内とスラム街のみで、交互に語られる本作はどこか閉塞的で、逃げ場のないサバイバルを彼らは行っているようにも感じる。
そして、中盤に差し掛かると、ヤツが学校にやってくる。
いじめっ子リーダーに一抹の悲しい過去を提示することから、てっきりのび太とジャイアンが和解協定を交わし、共通の敵を通してのび太の内に眠る暴力性が覚醒していく展開をやりたいのかと思いきや、このディストピア自体を奇妙な形で破壊しようとする男の物語に傾く。
本作は、奇怪な胸糞ムービーとして知られていますが、実は不快な心理をカタルシスに投影し禁断の行為に持っていこうとする所に凄みを感じる。
結果、主題歌が流れるEDの頃には清々しいムードさえ突きつけてくる。
ただ、イジメの経験がある方には、本作閲覧注意。主人公に魅せられすぎると、取り返しがつかなくなっちゃうかも。
ところで、縛られた女性が火だるまに焼かれるというビジュアルが魔女狩りを彷彿とさせてるように感じたが、台湾歴史と何か関係があるのだろうか?。