ゆーあ

名探偵コナン ゼロの執行人のゆーあのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます


誰もが知る国民的アニメ『名探偵コナン』の劇場版第18作目。今やGWの風物詩ですが、実は映画館で観るのはこれが初めて。何故今回劇場に足を運ぼうと思ったかというと、脚本が 櫻 井 武 晴 さ ん だ か ら !櫻井さんといえばドラマ『相棒』では書く話全てが良作の10割バッター。私は『相棒』の12年来の大ファンで、それに関わる脚本家さんの中でも櫻井さんは特別好きでした。シーズン11以降同作の脚本からは離れてしまったようで、また戻ってきてくれないかなあ…と願い続けていたところに今作の大ヒットを聞き、映画館を訪れたというわけです。

ということでちょっと珍しい経緯での鑑賞ですが…もう、すっごい!面白かった!!
国家組織の闇としがらみ、不自由な中で奮いあう正義が生み出す哀しみ。オトナの刑事ドラマの王道を往く物語は櫻井脚本の十八番で、そこに『相棒』ではやりたくてもできないド派手なアクションや、荒唐無稽ともいえるスケールのスリルが肉付けされて見ごたえたっぷり。櫻井脚本に飢えた胃にデザートまで詰め込んでくれる満貫全席映画でした!

キーマンである公安の非公式協力者である羽場二三一。彼のことを想うあまり日下部検事は大規模なテロを仕掛け、橘弁護士は無実の人間を有罪にすべく画策する。その復讐行為のきっかけでありターゲットである公安こそが、実は羽場を誰よりも安全に保護していた―。加害者と被害者それぞれの痛みを描き、「犯罪」というものそれ自体がいかに哀しく残酷であるかを知的な筆で露わにするやり方は、まさに櫻井脚本の醍醐味!!そう、私はこれが見たかった!橘弁護士が風見さんに「勘違いしないで。全部私の選んだことよ」と叫ぶシーンは、人が人を想う純粋さと、それを利用してなお足場一本揺るがない公安の強大さを痛感し、カタルシスを刺激しました。彼女のエピソードは、本筋を追う上では無くても支障ありませんが、羽場、日下部検事、ひいては公安という冷徹な組織に感情を伴わせ、物語への没入感を深めるために絶対必要だったと思います。演じる上戸彩さんも本当に上手で!吹き替えを務めた『マレフィセント』や『ズートピア』など、彼女の声はいつも安心して聞いていられます。

さてそんな公安側の最重要キャラクターである安室透a.k.a降谷零さんですが…。この映画を観た人が一様に「安室の女」になっていることで分かるように、まあー格好良かった!!キャラがメガ盛りじゃねーか!見せ場のワイルド・スピードばりのカーアクションはめちゃくちゃテンション上がりました!喫茶店のイケメン店員さんとしての柔らかい顔と、公安特捜員としての冷たい顔のギャップはもちろんですが、「摑まってろ!」からのモノレールでの片輪走行や、ラストの爆炎の中からコナンくんを救う豪胆さにガチ惚れました。勇気と危なさ(クレイジーさ)のギリギリのバランスがたまらない!クライマックスでコナンくんが「安室さんて彼女いるの?」と問うシーンは、張り詰めた連続アクションの最中の小休止という感じでお気に入りです。ここで一息ついたおかげで直後のラストアクションが最高に盛り上がり、この緩急のつけ方は本当に上手かったと思います。

しかし私が「安室の女」になったかというと、うーん私は風見さんが好みですね!公安として同じくグレーな仕事をしながらも、とうに一線を越えてる安室さんと、常識の柵内に踏みとどまる風見さん。二人が並ぶとそのコントラストが際立ってよかったです。

少年探偵団のみんなが裏で大事件解決のために(本人たちは知らないけど)頑張っている姿もすっごくわくわくしました。コナンくんの探偵ガジェット開発も含め、阿笠博士と哀ちゃんはもはや007のQ課みたいですね(笑)。園子は頼れる親友として、しっかりヒロインしてた蘭ねーちゃんを支えていたし、小五郎と英理のラブ要素にもニヤニヤしたし、みんな活躍の場面があってボリュームまんてんでした。

脚本家きっかけでしたが、やっぱコナンって楽しいなーー!と改めて知れたのが何よりの収穫でした。さすがは大人気の長寿シリーズだなって。これから過去作もいろいろ観ていきたいなあと思います♪
ゆーあ

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