このレビューはネタバレを含みます
みなさんが「ヴェノムヴェノム」と押しかけるなか、「待って、一人で先に観ないで」と夫から待ったがかかったので、しかたなく、という感じでもうひとつ、この時期気になってたこれです。
平日のレイト上映の一番遅い時間だから眠くなっちゃうだろうな
しかもずっとPCのモニターを見続けているような感じなんでしょう?
…なーんて心配していましたが、最後まで釘付けでした。
うん!
これは好きな映画でした。面白かった。
明日「ヴェノム観よう」って言ってた夫にも、こっちすすめてみよう。
しかし、詳しくは、なんにも書けないなぁ。
行方不明になった娘を救うため、にわかにハイパーデジタルヒーローに変身するパパさん役のジョン・チョー、不器用な愛も、焦りや不安や怒りがデジタルツール使いに現れるのも、なんだかリアルではまり役だったので、ここは極力ネタバレを避けて、彼とともに、最愛の娘探しの旅に出て下さい。
PCの中だけで展開するサスペンスということで、ちょっと前話題になった「アンフレンデット」のようなサイコホラーなものを想像していました。
実際観てみると「アンフレンデッド」よりも。…うーん「ゴーンガール」のような?わああ、これネタバレっぽいかな?
奇抜な演出に頼ることなく、ストーリーもしっかりしていたと思います。
メッセンジャーアプリ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ライブチャットなどなど、娘がおいていったノートパソコンのSNS履歴から、娘のゆくえそのもの、そして娘という人物そのものを追いかける父。
「親の知らないとんでもない実像が出てきたらどうしよう」「プライバシーでもあるし、できれば覗きたくない」と、リアルな父や母はそんな意味でもドキドキしてしまいますよね。
考えてみればSNSもしっかり非公開や鍵をつけ、エッチなチャットしかけてくるやつは即ブロックしたり、そんな彼女の性格もアプリの履歴を探ると浮かんでくるんです、ああちゃんとしたリテラシーもった子なんだな。
友達がたくさんいて陽気な子に見せてたけど、孤独な子だったんだな。
そして…優しい子なんだな、と。
無機質な電脳ワールドで展開されているにもかかわらず、血の通った、人の心がちゃんと現されてる作品。
「アンフレンデッド」の匿名電脳ワールドの胸糞悪さの反対側にあるような気がしました。
そして良心のかけらもない「ゴーンガール」の、かすかな良心の部分を敢えて拾って煮詰めた感じ(わかりにくい?)
BGMが優しいピアノのメロディがずっと低く流れているのも良い。娘と父をつないでいたのは、この「心」だったのね。
いまだからこそのテーマであると同時に、親子や夫婦の心、父娘の心の距離はいつの時代も存在するんだろうな、なんて思いながら、最後の試験結果のリロードでは、気づくと泣いていました。
確かに、数年後には「インスタ!懐かしー!」「フェイスブックやってたやってた!」って時代になっているかもしれませんねー。
(最後のメモリアルなんちゃらというサービス、はじめ葬祭場の案内かと思った)
(このSNSはよくわからなかった)
(けど、このへんが最大の「!」だからあまり書けない)
ラストに向けて玉ねぎの皮を剥くように一転二転とひっくり返る物語もよかった。ぞわッが3回ぐらいあったね。
あと字幕、難しかっただろうに、うまくつけられてたなぁ。テキストになると、英語難民の日本国民でも結構理解できちゃってうれしかったけど、やっぱり字幕大事。字幕まで読み取ることを考えると、やっぱり後日、映像配信やPCやテレビで見るより、映画館のスクリーンでみたほうがいいかもしれません。
しかし、これ、わたしの母世代なんかだと、全く意味がわからないだろうなあ。いろんな世代によってデジタル適応度合いが違うし、いろんな世代によって怖さが違う。